IDC Japanは5月16日、国内のマネージドサービス市場でのユーザー企業の調査結果を発表した。データセンターサービスやマネージドサービスの利用が災害復旧(DR)対策としての用途を含め、堅調に伸びているという。
調査は従業員数10人以上の国内企業706社を対象に3月に実施。東日本大震災からの2年間で、ユーザー企業のデータセンターやクラウドサービスの利用について意識がどのように変化したかを経年比較で検証した。
外部のデータセンターを利用している企業の比率は、今回の調査で約38%。前回の2012年4月の調査から約2ポイントの増加となり、外部のデータセンターの利用が着実に増加していることが明らかになった。
だが、この数字は2011年4月から2012年4月までの1年間、つまり震災直後の1年間の4ポイントという増加率を下回っている。外部データセンターに対する需要は、震災直後と比べると、やや落ち着いていると分析している。
DR関連サービスで利用しているデータセンターの立地として関東甲信越の比率は経年で低下。関東甲信越以外では、この比率がわずかに増えているところが多く、震災後にDR目的でのデータセンターの利用がいくつかの地域に分散して広がっていることも分かった。
だが、関東甲信越の46.6%という比率は、2位の近畿の34.5%を上回っていて、最も高い。DR用途でも関東甲信越のデータセンターが最も多く利用されている。
ハイブリッドクラウドの導入意向がある企業に、ハイブリッドクラウドが適合する理由を聞くと、基幹系システムなどでは「セキュリティやコンプライアンスの要件によるパブリッククラウド/プライベートクラウドの使い分け」という回答が全体の3~5割を占め、最多となっている。
一方、ウェブなどの外部向け情報提供システムでは、「需要変動条件によるパブリッククラウド/プライベートクラウドの使い分け」がトップ。ハイブリッドクラウドを具体的に検討している企業はまだ多くないが、目的意識をもってハイブリッド環境を検討している様子がうかがえるとしている。
こうした調査結果から、データセンターやクラウドサービスの利用は今後も、堅調に増加するとみている。IDC Japanの小野陽子氏(コミュニケーションズシニアマーケットアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「運用の自動化、データセンター間をネットワークで接続し、地理的に離れたシステムをシームレスに連携させる技術の高度化が急速に進んでいる。このような技術の普及に伴い、ユーザー企業のデータセンター立地やシステムのロケーション分散に関する考え方も変化していく」
2011~2013年のDR関連サービスで利用しているデータセンターの立地(出典:IDC Japan)