普段あまり人前に出ないGoogleのLarry Pageが、今年の「Google I/O」カンファレンスでは前触れなしでステージに上り、しかも聴衆とのQ&Aまでやったというので、わりと大きな話題になっていたが、このPageの発言内容についての矛盾を指摘する声が一部の連中からさっそく上がっている(註1)。
特に批判を受けたり、揶揄(やゆ)されたりしているのは、Googleに関するメディアの採り上げ方をPageが「下らない」とバカにした部分、そしてそれに続く競争(competition)に関するくだりで、具体的には次のようなところである。
「Googleに関して書かれた記事はどれも『グーグル対競合他社』とかそんな馬鹿げた内容のもの(some stupid thing)ばかりで、とくに面白いとは思わない。われわれはまだ存在しないすごいモノ(great things)をつくりだすべきである。否定的な姿勢からは人類の進歩は生まれてこない。いちばん重要な事柄はゼロ・サムではなく、目の前にはたくさんの機会が存在している。(註2)
いかにも「Moon shot」の重要性をアピールし、また自動運転車や「Google Glass」のようなものを実際に作って市場に出そうとしている会社の創業者・経営者らしい発言……。とそんなふうにも思える。が、そう言った舌の根も乾かぬうちに競合他社の批判--とくにMicrosoftやOracleに対する当てこすりやら皮肉やらを口にし始めたというのが第一の点で、これについてはThe New York Times(NYTimes)やFortune、AllThingsD、米ZDNetなどが異口同音に言及。
Fortuneでは、Pageが「OutlookとGmailとの互換性に関する問題などでMicrosoftを批判した」「MicrosoftはGoogleが生み出したイノベーションから利益をかすめ取っている」などと述べたとしている。いっぽうNYTimesでも、各種のウェブ・プラットフォームの開発に関し「Microsoftなどの連中とうまくやっていくのに苦労している」とPageが述べたと記している(註3、4)。
またJava関連の特許をめぐって裁判でさんざんやり合ったOracleについては、「彼らにとっては(他社との協力よりも)金儲けのほうが大事」とPageが述べたと、こちらも複数の媒体記事が指摘している(註5)。
さらに、Fortuneでは過去にさかのぼって、Google幹部の矛盾した言動の例を列挙(おそらく、ちょっとした「過去のいきさつ」のせいもあるのかもしれない:註6)。
「グーグルの幹部連中は『自分らだけは(他社との)争いごととは無縁の存在』と考えているかも知れないが、実際は正反対で、ほかのテクノロジ企業に負けず劣らず攻撃的」「彼らが人前(公の場)でライバルを批判したことも一度や二度ではない」(註7)などと記した上で、「自社サービスやモバイル端末をよく見せようと、競合他社の製品や戦略をこき下ろす」「しかもその多くは、あらかじめ計画され、内容を吟味されたもの」(註8)。
さらに「Google幹部のVic Gundotraは2010年に、Appleのクローズドなやり方を『自由競争に対する脅威』とし、Androidをそんな脅威から世界を守る救世主のように売り込んでいた」(ただし、Appleという具体的な名前は挙げずに)、「PageはWIREDとのインタビュー(今年1月に公開されていたもの)のなかで、Facebookの強さを認めつつ、『彼らは製品に関してほんとうにひどい仕事しかしていない』と述べていた」などと記している。