Googleが英国でふたたび矢面に
一方、大西洋を破産だ海の向い側--英国では「節税三兄弟」のひとつとされるGoogleの幹部がふたたび議会に呼ばれて、同社の節税策について「邪悪」(Evil)呼ばわりされたという(註7)。
[BBC News MPs challenge Google over UK tax]
英国時間16日に開かれた下院Public Accounts Committeeでは、Matt BrittinというGoogleの幹部(北部・中部欧州でのセールス&オペレーション担当)に向かって、同委員会のMargaret Hodge委員長が「御社では『邪悪なことはしない』をモットーにしているが、実際には煙と鏡をつかって邪悪なことをしている」「Googleの節税策は疑わしく、計算尽くで、私の目には倫理にもとる行いと映る」などと述べたとBloombergは伝えている(註8)。
今回問題となっているのは、このGoogle幹部が2012年11月に議会下院に呼ばれた際に、簡単にいうと「Googleは英国内では商取引をしていない」「英国の顧客が取引のクロージングをしている相手はすべてアイルランドにある法人」(だから英国に収める法人税がきわめて少ない)などと述べていたこと。この幹部は今回も同様の主張をくり返し、前回の時にも「(議員たちを)ミスリードするようなことは決してしていなかった」と述べたと伝えられている(註8)。
だが、財政緊縮策の実施による不景気が大問題となっている折から、たとえ合法的にせよ、こうしたGoogle関係者の発言(言い逃れ)が非倫理的なものと受け取られるのは致し方ないところかもしれない。
なお、Bloombergではこのあたりの数字について、やはり三兄弟の一員とされるAmazonでは「昨年英国内で65億ドルの売上があったにもかかわらず、収めた法人税は490万ドルに過ぎなかった」とするGuardianの報道を紹介。また、Googleについても2011年の英国での売上が41億ドルに対し、納税額は600万ポンド(約900万ドル)に過ぎなかったなどとしている(註9)。
また、英国時間20日にDavid Cameron首相がGoogleのEric Schmidt会長など16人の経営者と会合を持つ予定があることに関し、英首相官邸が「このBusiness Advisory Groupとの会合では、税金の話は議題に上らない」とわざわざが述べていることからも、却ってこの問題が大きな争点になっていることが伺われる(註10)
フランスでは「文化支援税」の案が浮上、EUーUS自由貿易協定への影響も
さらに、フランスでは「法人税が簡単にとれないのであれば……」ということで、代わりにGoogleやAppleなどに対して、文化活動の支援を目的とした税金の導入を検討すべしとする提言がオーランド政権に出されたことも先週伝えられていた(註11)。
フランスではすでにテレビ視聴者やテレビ・ラジオの放送事業者、それにネット接続事業者などから集めた資金を、アートや映画、音楽などの創作支援に回しているそうだが、この提言ではネット経由で消費されるコンテンツを受信・表示するタブレット端末のメーカーから税金を集める案が含まれているという(議会への提出があるとすれば11月以降になりそうな見通し)。ただし、EUと米国の間でまもなく始まる自由貿易協定締結に向けた交渉では、フランス側がこうした文化的製品を対象外とすることを望んでいることなどもあり、この文化税の問題が両者間での大きな争点のひとつになりそうだとReutersは記している(註12)。