米Microsoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmer氏は5月23日、東京で講演し、「デバイス&サービスカンパニー」の方向性と、日本でのクラウド事業の強化について話した。同社は「デバイスとサービスの企業に変貌する」意向を明確化、新たな一歩を踏み出す姿勢を示した。また日本国内、首都圏と関西圏の2カ所にデータセンターを開設、IaaS/PaaS「Microsoft Windows Azure」のサービスを国内から提供できるようにすることを発表した。
新たなハードウェアを設計することにも着手
Ballmer氏は「新しいWindowsデバイスを、パートナーとともに推進していく中でサービスを開発、更新し、さまざまなハードウェアの進歩を活用し、互いに補完し合い、人々が日々使っているデバイスを統一化しようと考えている」と話し、ソフトウェアだけに重点を置く立場から転換しようとする意志をにじませた。
Steve Ballmer氏
同氏は「Micrsoftの顧客は、われわれの提供する最高の利便性をすべての新しいWindowsデバイスを通じ、得ることができる。各開発者の素晴らしいアプリケーションを活用することも可能だ。今、消費者からみれば、ワクワクするような時期といえるが、企業もまた同様であり、さまざまな機会が生まれ、新しい試みがみられる」と語った。
Ballmer氏は今回、講演後、記者団からの質問に答える時間を設けなかったが、日本マイクロソフト社長の樋口泰行氏からの質問に応答するという形式が採られた。デバイスとサービスの企業に変貌することについて、Ballmer氏は「現在のソフトウェアは機能が洗練されているが、ユーザーに届ける経路が過去とは異なり、データセンターから配信される手法が今や確立されている。ここでは、ハードとソフトの統合化が重要になる。PCは製品として今もNo.1だが、さまざまなハードウェア、デバイスが急激に変化している中、われわれはただソフトウェアを開発しているだけではいけない」ことを解説した。
その上でBallmer氏は「新しい様式を持ち、自然なインターフェースを備えたハードウェアをソフトウェアとともに設計することにも着手していくべき。NEC、富士通、ソニー、東芝など数多くのパートナーとともに、次世代のデバイスを作る」と述べ、積極的にハードウェア開発にも手を染めていく方針を打ち出した。
また、Windows PhoneについてBallmer氏は「Windows Phoneは、Windowsと同様の形式で、PCやタブレットのような機能を持ち、これらと同様のサービスにアクセスし、まったく同じ情報をそれらのデバイス間で共有できる。まだ、日本ではWindows Phone 8は展開されていないが、現在、国内で披露するための努力を続けている。市場投入する際には、スマートフォンの刷新を図っていきたい。一つのスマートフォンがすべての人々のために展開するというのではなく、一人一人の保有する端末が、パーソナル化されるようにしていきたい」と述べた。
国内にWindows Azureの基盤となるデータセンターを開設
クラウドについて、Ballmer氏は「クラウドは、この世代の中でも最も重要な技術のブレイクスルーだといえる。この業界で最大の力が発揮されている。たとえば、インテリジェントデバイス、PC、スマートフォン、データセンターなどの要素は、クラウドにより結合されることが可能になる」と説明した。
続けて「クラウドは変革を起こしており、企業に対しては、コンピュータのパワーを無制限に提供するものであり、企業は処理性能や容量を気にせず活用でき、新たな成長を期待できるわけで、新しい顧客へのサービスの展開や、新しい市場への進出が可能になる」として、その重要性と効用を強調した。