「日本にWindows Azure向けデータセンターを開設する」--MSバルマーCEO - (page 2)

大川淳

2013-05-24 10:25

 Ballmer氏が語るように、同社はクラウド事業への注力を強化する意向だ。今回、Micrsoftが国内にデータセンターを設置することを明らかにしたのも、その一環だ。このデータセンターはパブリッククラウドのWindows Azureをユーザー起業に提供する、新たな主要リージョンという位置付けとなる。

 この「日本リージョン」に首都圏と関西圏の2カ所のサブリージョンが含まれるという形式だ。従来はアジア リージョンのサブリージョンである、香港あるいはシンガポールが担ってきたが、今後、国内のユーザーは日本リージョン内のサブリージョンも選択できるようになる。

 Ballmer氏は「日本は、Windows Azureサービスにとって大変重要な地域だ。東京を中心とした東日本、関西を中心とした西日本、2つのサブリージョンにより、一層容量を大きくし、柔軟性も提供できる」と指摘、国内のユーザーの安心感をより高められるとの認識を示した。


樋口泰行氏

 樋口氏は「国内でのデータセンター設置を望む声があり、それらに応え、日本リージョンの開設となった。日本経済にも貢献できると考えている。東京と関西、2つのサブリージョン構成で国内でディザスタリカバリ(DR)構成を構築できるようになり、パフォーマンスを改善できる。クラウドは、災害復旧、競争力強化に有効であり、日本企業も効果的にクラウドを活用してほしい」とその意義を強調した。

 Ballmer氏は「現在でもPCが製品としては最高」とした上で「新しい様式」「次世代のデバイス」実現への意欲をのぞかせた。クラウドが統合していくものの筆頭に「インテリジェントデバイス」を挙げた。Micrsoftが考えている、クラウドによる価値提供には、高機能のデバイスが不可欠との認識をさらに強くしていることがうかがわれる。

 ネットが急速に普及し始め、その能力を目覚ましく向上させていた10年以上前、「パソコン時代の終焉」といった発言がIT業界内で飛び出し、非パソコンのインターネットアプライアンスというものが複数登場したが、それらはことごとく失敗した。

 ところが今や、インターネットアプライアンスは現実のものとなった。スマートフォンやタブレット端末の台頭は、PCの出荷台数に圧力と及ぼすまでになっている。ICTの領域はイノベーションが短期間に状況を大きく変えてしまうため、10年後どうなっているはわからないが、Micrsoftの「デバイス&サービスカンパニー」宣言は、時代が大きく動いていることを強く印象づけるものではある。


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