佐藤氏の説明に、IDの本質をあらためてきちんと理解する必要があると感じた。
「現状のSI中心からサービスプロバイダー、さらにサービスアグリゲーターへと進化していきたい」 (日本ユニシス 黒川茂 代表取締役社長)
日本ユニシスが5月10日、2013年3月期(2012年度)連結決算について記者説明会を開いた。黒川氏の冒頭の発言は、その会見の中で、中長期の成長に向けた同社の将来像を語ったものである。
日本ユニシスの黒川茂 代表取締役社長
2012年度連結業績については、売上高が前期比5.5%増の2691億円、営業利益が同13.7%増の83億円、経常利益が同17.2%増の83億円となり、純利益は12億円と前期124億円の赤字から黒字に転換した。
また、2014年3月期(2013年度)の連結業績予想としては、売上高で前期比2.2%増の2750億円、営業利益で同44.4%増の120億円、経常利益で同35.9%増の113億円、純利益で同5.6倍の70億円を見込んでいる。
ちなみに同社では2012年度から中期経営計画に取り組んでおり、2012年度実績で3.1%だった売上高営業利益率を、2013年度は4.4%に、同計画の最終年度となる2015年3月期(2014年度)は5.0%(売上高2800億円)に引き上げる構えだ。
黒川氏は中期経営計画の取り組みについて、「システムインテグレーション(SI)や運用・保守サービスといったコアビジネスの拡大によって収益基盤の安定化を図るとともに、顧客との共創/BPOビジネスモデルの確立や社会基盤ビジネスへの進出によって、持続的な成長軌道を形成していきたい」とし、同計画後、早期に売上高3000億円と売上高営業利益率6~7%を達成したいと語った。
そうした中長期の成長に向けた同社の将来像を示したのが、黒川氏の冒頭の言葉である。同氏によると、各種ソリューションを共同アウトソーシングの形態でサービスとして提供するのがサービスプロバイダーで、「中期経営計画はその基盤形成の時期と位置付けている」という。
まずはサービスプロバイダーへ進化するため、同社では「インフラ・基盤技術力の強化および個人のスキル向上」「グループ内に分散しているインフラ・基盤/運用技術者の集約」「マーケティングの強化」に注力していく構えだ。
そして同氏が将来像として掲げるのが、「(提携関係にある)大日本印刷が持つソリューションや複数のクラウドサービス、およびオンプレミスのシステムの統合・連携によって高付加価値なサービスを提供するサービスアグリゲーター」だ。このサービスアグリゲーターへ進化していくためには、ITの最適化に向けた目利き力の強化や実行組織の整備、人材の育成、大日本印刷との協業の深化などを進めていく必要があるとしている。
黒川氏が示した将来像は、取りも直さず今後SIerが進むべき方向といえる。その典型ともいえる日本ユニシスが、思惑通り進化を遂げることができるかどうか、注目しておきたい。
Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookページ、Twitter、RSS、Newsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。