さいたま市が、市政への提案、陳情・要望、行政サービスに関する問い合わせなどを集めた「市民の声DBシステム」を構築し、本格運用を開始した。システムを構築した富士通が5月28日に発表した。製品を提供した日本マイクロソフトによると、自治体として初めての「Microsoft Dynamics CRM」の導入事例という。
市民の声DBシステムは、さいたま市の各種広聴制度、コールセンターなどに寄せられる市政への提案、陳情や要望、行政サービスに関する問い合わせといった市民の声を一元管理し、発言者の年代、性別、居住区、提案内容別などによる分類、集計、統計結果のグラフなどを表示する。
さいたま市は、より積極的に市民の声を収集するため、ウェブサイトを設け、市民から直接、意見や要望を受け付ける。これにより、効率的かつ正確に市民意識の状況を把握し、迅速に対応することで、市民サービスの質を向上させる狙いがある。
これまでも、コールセンターを運用し、陳情と提案のほか、「わたしの提案」「タウンミーティング」などの広聴制度を設け、積極的に市民の声を収集していた。だが、その情報は制度ごとに管理されており、市全体として市民の声を定量的に分析し、傾向をつかむのが難しかったとのこと。
また、市民の声への個別の対応はそれぞれの制度で迅速に行っているが、市全体として把握し、次の施策へ反映するまでには、意見の集約と統計処理などに多くの労力を要していたという。
今回のシステムで市民の声を集約することで、市民の意識を把握できるようにする。同システムは、さいたま市共通認証システムと連携しており、職員は、庁内PCからこのシステムにアクセスして、寄せられた市民の声を登録する。
技術面の特徴は、Dynamics CRMの活用によりシステム構築を効率化したことだ。富士通は、システムの拡張性やセキュリティの設定が可能な点を評価してDynamics CRMを採用したとしている。
今後さいたま市は、同システムを全庁で共有化し、効率的に市民の声を分析し、的確に市民意識を把握していくという。市民の理解が欠かせない事業における対策を講じるなど、広聴活動を施策推進のために活用する考えだ。
システムのイメージ