Benioff氏は日本市場にコミットしている証として、日本のデータセンターや日本法人の本社を六本木から丸の内のJPタワーへ引っ越しをしていることを挙げ、「日本に強くコミットし、日本に注力しているのは今回に始まったことではない。10年以上前から実施していることだ。私は日本の起こす革命に大きな期待をかけている」と強調した。
日本では中小企業庁が実施する、中小企業と小規模事業所の支援事業のクラウドプラットフォームとして、セールスフォースのPaaS「Force.com」が選択された。この事業は中小企業と、弁護士や税理士、コンサルタントなどの経営を支援する専門家をマッチングし、経営に関する問題解決を行うためのポータルサイト構築することを計画している。7月にサイトをオープンし、今後3年間で中小企業100万社、専門家1万人の登録を目指している。
中小企業庁 事業環境部長 鍛治克彦氏
オリックス野球クラブ 取締役 事業部長兼企画事業部長 湊通夫氏
トヨタカローラ徳島 代表取締役社長 北島義貴氏
中小企業庁 事業環境部長の鍛治克彦氏は新プロジェクトの狙いをこう説明した。
「日本企業はこれまで製造業の下請けとして発展してきた経緯があり、大企業が海外に生産移転することで厳しい局面に立たされている。宇宙産業などで活用できる技術力があっても、それを実現する道筋がないため、専門家のサポートで支援できればと考える。また、女性経営者が先輩経営者の意見を聞く場、ファイナンシャルプランニングの専門知識などを提供することで、中小企業支援につながるのではないか」
カスタマー革命をさらに進めていくために、マーケティング強化策として、ソーシャルマーケティングの「Salesforce Marketing Cloud」を活用し、マーケティングを強化。顧客と連携しながら営業活動を強化するためにはChatterや人材を管理するSaaSの「Work.com」を通じて、営業部門のやる気を強化するという。
ユーザー企業としてオリックスバッファローズも紹介された。オリックス野球クラブ 取締役 事業部長兼企画事業部長の湊通夫氏が登場し、「ウェブサイトとSNSはある意味で真逆の対応が必要。球場に来るファンだけでなく、ファンがどういうことを考え、それにどう対応していくのかを球団としては考える必要がある」とファンとの関係が大きく変わってきていると紹介した。
ワークスタイルの変貌としては、公開、非公開のソーシャルネットワークにより顧客やパートナー企業、社員との関係を変える。具体例としてトヨタのディーラーであるトヨタカローラ徳島の代表取締役社長である北島義貴氏が登場した。「われわれディーラーもモノではなく、コトを提供する企業への変貌を目指している」と販売店の事業の本質が大きく変貌しようとしているとアピールした。
Benioff氏(左)と鍛治氏