弥生は5月29日、スマートフォンアプリやクラウドサービスを開発するベンチャー企業であるクラウドキャストに、2500万円を出資する資本業務提携を結んだと発表した。弥生の従来の製品分野に加え、スマートフォンからの入力やレシートのOCR機能、取引データの自動取り込みといったモバイルの要素を本格的に取り込むことで、広がるユーザーニーズをカバーする。
弥生の代表取締役社長を務める岡本浩一郎氏は「2000年代後半まではWindowsデスクトップをやっていればよかったが、今はスマホやタブレット、クラウド、Macなどにユーザーニーズが広がっている」と指摘し、端末の多様化に対応する必要があるという考えを示した。
資本提携は4月に契約を締結し、すでに出資を実行した。出資比率の低い「マイノリティ出資」の形式を取るとしている。岡本氏がクラウドキャストの社外取締役に就任し、経営上のアドバイスをするなど協業を進める。
弥生の社長を務める岡本氏(左)とクラウドキャスト社長の星川氏
クラウドキャストの主力製品は「bizNote」。これは、2011年11月にリリースしたスマホ入力やレシートOCRをするためのアプリで、現在までに約2万ダウンロードの実績がある。うち80%が有料ユーザーという。弥生に対応する製品を既にリリースしており、製品名は「bizNote for 弥生会計」とレシート入力の「bizNote Rec」の2つ。
bizNote for 弥生会計はiOS、Android、Windows Phoneの3環境に対応。位置情報連携や、弥生会計と連携する勘定科目マッピングなどの機能が特徴だ。一方、bizNote Recは、OCRを使ってレシート情報を読み込む機能。OCRと人力を組み合わせることで、入力の精度を100%に近づけたという。読み込み精度を高めるために在宅勤務のオペレーターを活用することで、女性の社会進出や復興支援などに併せて取り組むとしている。
クラウドキャストの社長を務める星川高志氏は日本マイクロソフトの法人向け技術チーム出身。2009年にiPhoneアプリの開発を始め、2011年1月に法人化した。弥生が実施した弥生スマートフォンアプリコンテストで、bizNote for 弥生会計がグランプリを受賞したことをきっかけに、弥生との関係がスタートしたとのこと。
弥生によるベンチャー企業への出資は今回が初めて。岡本氏は自社の役割として、日本の中小企業や個人事業主、起業家を支援することを挙げ、それに貢献するために「今後もベンチャーへの出資を続ける」と話す。現状の総額で投資枠2億円で、基本的には今回と同様に、1つの案件に対して2000万~3000万円程度の規模とするマイノリティ出資を考えている。
ただし、岡本氏によると「来期に取り組むべきことは消費税増税への対応。クラウドキャストから得られる売り上げはごく一部に限られる」と話し、今回のようなベンチャー支援を売上高など本業の柱に据えているわけではないと説明した。