IDC Japanは6月6日、オープンソースソフトウェア(OSS)エコシステム市場の2012年の実績と2017年までの予測を発表した。2012年の同市場規模は6751億6200万円。2012~2017年の年平均成長率(CAGR)は10.2%で、2017年には1兆962億円に達すると予測している。
OSSエコシステム市場は、企業や団体などのユーザーがOSSを使用したシステムに対する支出額をもとに算出。OSSが中心的な役割を持つシステムだけを対象にしている。一般消費者は対象とせず、PCとモバイルに関連するOSSは含んでいない。
同市場は、OSSに対するサポートサービス、システムで使用されるハードウェアと商用ソフトウェア、システムの導入構築サービス、運用保守サービスという5つのセグメントで構成されている。2017年には、導入構築サービスと運用保守サービスで50%以上を構成、ハードウェアが約20%、OSSサポートサービスと商用ソフトウェアがそれぞれ10%強になると予測している。
今後の同市場の成長をけん引していく大きな要素として、クラウド基盤構築管理ソフトウェアの「OpenStack」、標準化が進みつつある技術「OpenFlow」のような仮想化やクラウドでのシステム基盤での使用が期待されているOSSが中心となって形成されるエコシステムが挙げられるとしている。
国内のクラウド基盤構築管理ソフトウェアのエコシステム市場は2017年に551億円になると予測している。OSSのクラウド基盤構築管理ソフトウェアにはOpenStackのほかに「CloudStack」「Eucalyptus」「OpenNebula」などが含まれる。国内のOpenFlowのエコシステム市場規模は、2017年に329億円になると予測している。
2012~2017年の国内OSSエコシステム市場の支出額予測(出典:IDC Japan)
これらのOSSを活用したパブリッククラウドとプライベートクラウドの構築が、2015年から本格化していくとみている。IDC Japanの入谷光浩氏が以下のようにコメントしている。
「これからのOSSは、より先進的な技術を実装し、新たな市場を創り出す役割を担っていく。ベンダーやシステムインテグレーターなどのプロバイダーは、さまざまななOSSを介して多くのパートナーと連携してエコシステムを形成し、新たなビジネス機会を作っていくことが、ビジネスを成長させるために重要となっていく」