早くもコモディティ化し始めた仮想化
仮想化システムを導入する企業が増加している一方、「仮想化システム自身はコモディティ化され始めている」と藤本氏は指摘する。
「Windows Server 2012の発売以来、仮想化というのは特別なものではないという認識を持つ人が増えてきている。ここ数年は『サーバを統合し、仮想化して運用したい』ということが目的となっていた。その動きが一段落し、『仮想化されたシステムを今後どうすべきか?』と将来に目を向けるユーザーが出てきている。仮想化システムのコモディティ化が始まったといっていい。もちろん、現在のものよりも、超ハイエンドな仮想化システムといったものが求められるケースもある。ただそれは少数派で、多くのユーザーは2CPUで、8コア辺りが主流。それほど高い機能を求めているわけではない」
1つのテクノロジーが脚光を浴びて普及が進むと、そのテクノロジーは当たり前のものとなり、そのテクノロジーを導入目的とすることがなくなることは、IT業界では当たり前のサイクルでもある。もはや、仮想化についてもそのサイクルが始まったというのが藤本氏の見方だ。
それでは「次にやるべきこと」とはどんなことを指すのだろうか?
「もともと仮想化システムの導入は、将来的にクラウドへ移行することを目指してのものだったはず。その第一段階として仮想化システムを導入し、次のステップとして管理プロセスを自動化、RunBook、そしてクラウドにつなげることが現実的になってきたユーザーが多いのではないか」(藤本氏)
管理プロセス自動化を実現するためのツールとして、注目されているのが「System Center 2012」の活用だ。System Center 2012のコンポーネントの一つである「System Center Orchestrator 2012」を利用したRunBookで、複雑な複数の処理工程を自動化する。これにより運用にまつわる複雑な処理が自動化されることになる。
「もともと仮想化が最終目的ではなく、むしろクラウド化するための第一歩が仮想化だったはず。処理工程の自動化などクラウドを実現するためのツールに投資することは、正しい方向といえるのではないか」
仮想化がコモディティ化することはマイクロソフトにとってはプラスとなる可能性が高い。仮想化システムは、VMware が先行し、マイクロソフトはそれを追う立場で市場が拡大していった。
その中でHyper-V自身の機能が強化されるともに、運用管理製品であるSystem Centerの機能が強化されていった。こうした周辺環境の整備によって、クラウド環境すべてを管理するビジョンとしてマイクロソフトは自ら打ち出した「クラウドOS」の実現を目指している。