5月14日に新たな社名へと変更したインターネット専業生命保険会社、アクサダイレクト生命保険株式会社(旧ネクスティア生命保険株式会社)。
その社名変更の意図や、ネット専業ならではの工夫、そして生保業界全体に対する思いなどを、代表取締役社長の斎藤英明氏と、インフォメーションテクノロジー部長の木島博征氏に聞いた。
グループ内の既存ブランドを活かした新社名
新社名の「アクサダイレクト生命保険」は、同じアクサジャパンホールディング傘下の損害保険、アクサダイレクト(社名はアクサ損害保険)を強く意識した名称だ。
「代理店や保険商品比較サイトとの関係もあって、アクサのグループ会社であることを示す名前が重要だと考えたのです。あまり似た名前ではカニバリズム(ブランド名が似すぎて区別しづらくなるなどの悪影響)も懸念されますが、一方でシナジー効果も期待できるため、そのバランスを考えて決めた名前です」と斎藤氏は説明する。
代表取締役社長の斎藤英明氏
実は、同社にとって社名変更は今回が初めてではない。生命保険業の免許を取得して営業を開始した2008年4月当時の社名は「SBIアクサ生命保険」、SBIホールディングス、ソフトバンク、アクサジャパンホールディングの合弁で設立された会社だった。
2010年には、SBIが保有していた株式をアクサに譲渡する形でアクサの100%子会社となり、社名をネクスティア生命保険に変更していた。経営上の都合とは言え、開業から5年少々で2回も社名を変えたというのは頻繁すぎる印象がある。
「さすがに次の改名はしばらくないでしょう。生命保険の場合、検索して出てきても知らない名前の会社はクリックしてもらえない傾向が強いのです。そのためネット専業でも広告はテレビコマーシャルが中心になりがちです。もちろん今の社名では損害保険との誤認防止も重要なので、ウェブの検索キーワードやリスティング広告の見極めなど、一緒になって進めていかないといけません」(斎藤氏)
ネット専業生保は同社のほかにもあるが、アクサダイレクト生命保険では、他のネット生命保険会社との競争よりも既存の市場にどれだけ食い込めるかに重点を置いているという。
というのも、ネット専業生保はいずれも数年前に登場したばかりで、まだ日本の生命保険市場では少数派だからだ。生命保険は購買頻度の低い商品である上に、もともと日本の生命保険市場は飽和に近い状態であり、急激な伸びは期待しづらいのが実態といえよう。
「現状、ネット専業生保のシェアは全体でもわずかです。銀行や証券はともかく、保険にネットで加入できることの認知度も、日本ではまだ低いのではないかと思います。当社はもちろんのこと、ネット専業生保全体の認知度を高めていくことが不可欠と考えています。また、全てがネット生命保険に置き換わるとは思っていません」(斎藤氏)
さらに「今の10倍、シェア数%か、あわよくば10%くらいが当面の目標になるでしょう。日本の生命保険契約数は1億契約を少し上回る程度ですから、1割でも1000万契約。そのくらい取れればすごいことだと思うのです」との考えを述べた。