三国大洋のスクラップブック

サイバーセキュリティ予算でバブるワシントン--米NSAスキャンダルの落ち穂拾い

三国大洋 2013年06月13日 15時23分

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 米国家安全保障局(National Security Agency:NSA)によるトップシークレットの活動が内部告発者によって明らかにされた、というニュースはすでにご存じだと思う。

 この話がどうも米国人の「イヤツボ」を突いてしまったようで、英語圏のメディアでは、先週半ば(米国時間5日の夜あたり)からこの関連のニュースが大量に出続けている。例えば私がよく利用しているニュースアグリゲータのTechmemeサイトでは、この週末から週明けにかけて、めったにないほどたくさんの見出しがならんでいたりした。これだけの見出しが並ぶのは、普通はAppleのイベント開催・製品発表の時くらいのものであろう(註1)。


[NSA whistleblower Edward Snowden: 'I don't want to live in a society that does these sort of things' - Guardian] (内部告発者のEdward Snowdenへのインタビュー。聞き手はGlenn Greenwaldというその筋では有名な弁護士出身のジャーナリスト)

 今なお進展中の話題でもあり、また当方が全くの門外漢でもあるせいで、どう話をまとめていいか苦慮しているが、今回は目を通した関連記事の中から、この話題を補足するような情報を3つほど紹介する(その2以降は次回になるが悪しからず)。

ワシントンDCで甘い汁を吸う国防関連のハイテク産業

 6月初めに偶然目にしていたWSJの記事で、「予算強制削減もどこ吹く風。国防・諜報関連の連邦予算で潤うワシントンDCのバブル景気」とする旨の見出しが付されたものがあった。

What Sequester? Washington Booms as a New Gilded Age Takes Root - Wall Street Journal(WSJ)

 「Gilded Age」というのは、ちょうど今週末に日本でも劇場公開になる映画『華麗なるギャッツビー』の原作(スコット・フィッツジェラルドの代表作)の舞台になっていた時代──米国が空前の好景気に沸いた1920年代を指す言葉としてよく使われるものである。

[A Millionaire's Mansion in Suburban Washington]

 このビデオに出てくるNorton Manorという名前のついた大邸宅、Frank Islamという情報技術関連分野の起業家が建てたものだそうだが、民主党政権に対して厳しいWSJとしては、こんなバブルの徒花(あだばな)が生じるのも連邦予算、特に2001年の同時多発テロ「9.11」以来増え続ける軍需・安全保障関係のそれのおかげ……という書き方で、ほかにも「(ワシントンDCに隣接する)バージニア州郊外に昨年アストンマーチンのディーラーがオープン。まだ1年も経っていないのに、12万ドル以上もする自動車が100台以上も売れた」「4月にあったあるチャリティ・イベント--犬のファッションショーでは、最低でも5000ドルもする参加料(自分の飼い犬にランウェイを歩かせる権利)を払ったものがいた」「地元のリッツカールトン( Ritz-Carlton、高級ホテル)で開かれた別のチャリティ・オークション(参加者は女性限定)では、NFLワシントン・レッドスキンズ(Washington Redskins)の元スター選手と会食する権利が6000ドルで競り落とされた。また、1人あたり数百ドルも払って消防士のシャツを脱がす権利を手に入れたご婦人も何人かいた」など、そのバブリーな徒花の例がいろいろと挙げられている。

 なお、上記のIslamなる人物はもともとインドの農村出身で、米国に渡った後は政府関連の外注企業各社でキャリアを積み、その後自分で起こしたQSS Group(やはり官需専門の情報処理関連企業)を2007年に2億5000万ドルでPerot Systemsに売却、その後はベンチャー投資家になっているという。DellがPerot Systemsを買収したのが2009年のことだから、このQSSに関連するような仕事を今ではDellが請け負っている、ということになるのだろうか。

 このWSJ記事の中にあるグラフを見ると、ここ3年ほどはワシントンDC周辺に落ちる連邦予算の合計額がほぼ頭打ち状態にあることが分かるが、それでも1500億~1600億ドル程度とかなりの額である。

 また米国で最も富裕な郡(行政区)上位10カ所のうち、7カ所がワシントンDCの都市圏にあるとか(ニューヨークの都市圏は2箇所、シリコンバレーはゼロ)、一世帯あたりの平均年収が8万4523ドルで、シリコンバレーの中でも高いほうに入るサンノゼのそれ(8万3944ドル)を上回る、といった面白いデータも出ている。

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