このロジックは確かに成り立つものの、XPはその市場シェアが大きいために、今でも攻撃の大きな標的の1つになっている。悪名高い銀行強盗のWillie Suttonが、銀行を襲ったのは「そこに金があるからだ」と放言したように、マルウェアや標的型攻撃は、普及度が高いシステムを的にする。Microsoftのサポート終了後も新たな攻撃方法は見つかるだろうし、ユーザーは再びMicrosoftがサポートを延長してくれるか、サードパーティーがMicrosoftのコードの上に保護レイヤを作ってくれるのに頼るしかない。
そもそもOSは重要なのか?
アプリケーションはウェブベース、クラウドベースのプラットフォームに移行しつつあり、今ではウェブブラウザだけを動かせる現代版ダム端末以上の機能を持つデスクトップOSの必要性について、疑問視する人までいる。確かに世の中はその方向に向かいつつあるが、「デスクトップの終焉」という予想は1990年代の終わりからあることや、ウェブブラウザだけしか動かせない、マルウェアに感染したOSをファイアウォールの裏側のLANに挿せば、大きな脅威になることを考えてみて欲しい。多くのITプロフェッショナルは、OSの大型アップグレードはコストがかかるのに比べて、XPを使い続けるのは「ただ」だと考えているが、Microsoftのサポートが終了してしまえば、プラットフォームのサポートを独自に続けていくためのコストは急激に増加していくだろう。
ITプロフェッショナルはどうすべきか?
本記事執筆時点では、もっとも魅力的な移行先はWindows 7であるように思える。このOSは成熟かつ安定しており、ハードウェアへの対応も成熟している。また多くの組織がすでにWindows 7への移行に着手しており、問題点も分かっている。Windows 8とは違って、エンドユーザーが新しいUIに慣れるための訓練も少なくて済むし、彼らもWindows 7やVistaを他のマシンで見たことがある可能性が高い。Windows 7の延長サポートは2020年まであるため、Microsoftが未来のコンピューティングのビジョンを完成させるまでの数年間、利用し続けられるはずだ。
XPは今こそ「十分」なものかもしれないが、独自サポートのコストと手間は、すぐにその魅力を失わせ、高価な選択肢にしてしまうだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。