確かに日本製品は高品質です。しかし、その製品のアフターサービスのコストはいくらなのか、部品も含めた適正在庫量はどのくらいなのか、さらにどのくらいのスパンで修理が必要なのかといったサイクル管理については、“勘と経験”で判断しているケースが少なくありません。
この部分に無駄が生じてしまえば、結果的に売り上げは縮小します。こうした「勘と経験」の部分をITで需要予測すれば、破棄していた在庫が削減できるだけでなく、効率のよいアフターサービスが提供できます。例えば、「どの倉庫に、どのくらい在庫を保管し、どのくらいのスパンで顧客にアプローチすればよいか」といったことが数値化できるのです。その結果、全体でどのくらいコスト削減が実現されたかを経営層が把握し、迅速な意思決定ができるのです。
グローバル競争は、“迅速な対応競争”でもあります。例えば米国のfortune500に掲載されている製造系企業は、へき地であっても24時間で修理部品を調達できる体制を整えています。つまり、そのためには顧客が利用している製品や部品構成まで、情報を一気通貫で管理しているのですね。
グローバルでビジネスを展開するには、こうした企業と競争しなければなりません。そのためには、情報を一元管理できるシステムが不可欠なのです。
――具体的にはどのようなアプローチをされていますか。
桑原氏: 私が社長に就任してから3年間で注力したことは、PLMを活用しているグローバル企業の事例紹介です。日本企業のユーザー企業に海外の競合企業がどのように製品ライフサイクルを管理しているかを知ってもらい、彼らに「“勝つ”ためには何が必要か」を一緒に考えることです。
日本企業でも部門単位でPLMを導入しているユーザー企業は多くいらっしゃいますが、全社レベルで導入している企業は少ない。PLMはユーザー企業のビジネスを理解し、業務コンサルティング的なアプローチが必要です。業務プロセスの変更から提案し、二人三脚で取り組まなくてはなりません。
この分野においてわれわれは、グローバル企業のベストプラクティスを提示できるという強みがあります。それは世界の主要製造企業がPTCのPLMを導入しているからこそ、提供できるのです。