本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、共同通信デジタルの伊地知晋一 代表取締役専務と、米McAfeeのTodd Gebhart Vice Chairmanの発言を紹介する。
「異業種連携によって、ネット選挙向けに信頼性の高い認証サービスを提供したい」(共同通信デジタル 伊地知晋一 代表取締役専務)
共同通信デジタルの伊地知晋一 代表取締役専務
第23回参議院議員通常選挙が7月4日公示され、21日の投票日に向けていよいよ選挙戦が始まった。今回は初めてインターネットを使った選挙活動が解禁されたとあって注目を集めているが、一方でなりすましなどのセキュリティリスクも不安視されている。
そうした不安を取り除くべく、共同通信デジタルとシマンテックが6月25日、政治家などのウェブサイトやSNSアカウントを認証するサービスを開始すると発表した。伊地知氏の冒頭の発言は、その発表会見で新サービスへの意気込みを語ったものである。
新サービスは、共同通信デジタルがシマンテックの「ノートンセキュアドシール」の認証技術を活用し、ウェブサイトやSNSアカウントが第三者によるなりすましではなく、名乗っている本人に間違いないことをURL単位で認証する仕組み。ウェブサイトのドメインだけでなく、SNSのアカウントまで認証の対象としているのが大きな特徴だ。
認証対象のSNSは、Twitter、Facebook、Google+、YouTube、ニコニコ動画、Ustreamを予定している。認証済みのURLには、共同通信デジタルとシマンテックが発行する「マイページトラストマーク」を付与するとしている。
また、認証済みのアカウントやURLは、共同通信デジタルが7月5日に開設する情報サイト「THE OFFICIALS」で一覧化し、政党ごとに政治家の本物のアカウントやウェブサイトのURLを確認できるようにしていくという。さらには、認証済みのアカウントやURLのデータベースを大手ポータルサイトなどにも提供し、その情報を一般のネットユーザーが広く参照できるようにしていく計画だ。
ちなみに、伊地知氏の冒頭の発言で「異業種連携」とあるのは、まさしく共同通信デジタルとシマンテックが手を組んだことを指す。共同通信デジタルが共同通信社のネットサービス子会社であることから、「報道機関の情報網とセキュリティベンダーの高度な技術を組み合わせることで、ネット選挙向けに信頼性の高い認証サービスを提供していきたい」というのが正確な表現である。