新技術で斜陽産業に新しい価値
次にSAP AGのエグゼクティブバイスプレジデントのBouhdary氏が登場。SAP自身のイノベーションと、SAPのユーザー企業が起こしたイノベーションの事例を紹介した。
SAPでは2010年から700億円規模の投資を行い、Sybase、HANAなどそれまでSAPが持っていなかった新技術、新ジャンルに積極的に進出した。

SAP AG エグゼクティブバイスプレジデント Chakib Bouhdary氏
「データベースのアーキテクチャは40年前のもの。HANAが実現するのはリアルタイムで、高速に答えを分析し、多角経営を進める企業にとって大きな武器となるデータ利用が実現するもの」(Bouhdary氏)
テクノロジを活用することで、新しいビジネス価値を作った事例として、ビデオレンタルを展開する米国企業のredboxを紹介した。ビデオレンタル事業は明るい展望が見えない事業とされることも多いと言われている。
「redboxでは顧客データを分析することで、学生街の店舗では何時頃にビデオが貸し出され、返却は何時頃になるのかといった顧客の動向調査をデータから導き出した。リアルタイムに予測することで、在庫の変更を行うといったデータを元にした店舗経営を実現した結果、斜陽の業界と見られていた産業に新しい価値を生み出すことに成功した」(Bouhdary氏)
また、あるスパイスを提供する企業では、顧客の購買履歴を分析するうちに、指紋と同様にその顧客にしかない“指向のプリント”と呼ぶべきものが存在することを導き出したのだという。
「その指向のプリントに基づいて、どんな商品が販売されているのか、その顧客の指向にあわせた食材で作る料理レシピの提供など、ビジネスの創造を実現する答えをデータから導き出した」(Bouhdary氏)とSAPのテクノロジを活用することで、新たなビジネス価値を見出す実例が出ていることをアピールした。