この組織編成の重要な点は、1.CIOの直下に置くこと、2.各部門から要員を集めること、3.外部専門家を加えることである。この組織は、CIOの指示・監督の下で、各部門が担う業務やサービスの観点を有する要員と、データ分析のテクニカルな手法を有する外部専門家が協働して業務を進める。こうした組織を体制図上で定義することは難しいことではない。
しかし、それを機能的に運営することは容易でない。それは絶対的な方法論が存在しないためだが、ビッグデータの取り組みと同様、短サイクルでの見直しを重ねることで、ビジネス環境に順応した最適な運営を探ることができる。すなわち、ビッグデータの取り組みは、多種・大量のデータを短サイクルで分析・活用し、企業の事業活動を最適化することに意義があるが、それを運営する仕組みそのものも同様に、短サイクルで機能性を見直し続けることが求められるのである。
新しいチャンスを逃さないために
冒頭に述べたとおり、新しい技術要素が世に出るたびに、情報システムにかかわる組織体制について議論がおよぶのは不可思議で、どれほどの意味があるのかと疑問に思うのも当然といえる。しかし、だからと言って、それを理由に組織体制や組織運営の議論を先延ばしにするのは、自社に大きな機会損失を招く恐れもある。
ビッグデータやそのほかの新しい技術要素が急激な速度で展開され、新しいサービスや新しいビジネスのチャンスが広がる中で、それらを逃さず、最大限の恩恵を享受するために、継続的な取り組みとして、組織体制や組織運営を進化させていくのは、今なのではなかろうか。
次回は、今回の記事に続くテーマとして、ビッグデータで得られた示唆や戦略を速やかに業務・サービスに反映させる方法や体制について検討することとする。
Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookページ、Twitter、RSS、Newsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。

- 辻 大志(つじ たいし)
- バーチャレクス・コンサルティング株式会社 経営戦略室室長
- 2012年6月より現職。事業展開・拡大に向けた施策やビジネスモデル構想、CRMやデジタルマーケティング等の領域を得意とする。以前はアクセンチュアで事業構想策定、CRM戦略策定、ビジネスプロセス改善、システム導入、アウトソーシング活用等といったプロジェクトに従事。その他、アジアでの新規事業構想策定、事業立ち上げ支援及び事業提携に係る調整等を推進した。バーチャレクス・コンサルティングの製品情報はこちら。