加えて、米シカゴ市では、3万人の職員がSaaS「Office 365」に移行することで、40万ドルの年間コストの削減を可能にし、デンマークではナチュラルユーザーインターフェース技術「Kinect」を利用して高齢者のほか、介護が必要な人への住民サービスの強化に取り組んでいることなどを示した。
Ipsen氏は「最終的に都市が求めているのは、経済的な発展や雇用の増加。しかし、今後5年間に発生する新たな雇用の9割には、ITスキルが必要となるといわれている。Microsoftでは、市民のITスキルの強化が必要だと考えており、教育分野に対しては、今後5年間で7億5000万ドルを投資し、根本的な課題の解決に取り組む」とした。

パートナー戦略を軸にしてCityNextの取り組みが行わる
Microsoftが提供する若者向け支援プログラム「YouthSpark」、起業家や創業直後の企業を支援する「BizSpark」なども、CityNextにおける取り組みのひとつに位置付けられる。
そのほか、CityNextでは「ビジョナリーシティ」として、ニュージーランドのオークランド、スペインのバルセロナ、アルゼンチンのブエノスアイレス、中国の海南省と鄭州、ドイツのハンブルク、英国のマンチェスター、ロシアのモスクワ、米国のフィラデルフィアを認定。CityNextの先進的な取り組み事例として、その成果などを公開していくことになるという。

米Microsoft ワールドワイドパブリックセクター ゼネラルマネージャー Lynne Stockstad氏
Stockstad氏は「CityNextの実現で最も重要なのはパートナーとの協業を強化することであり、パートナー各社は、ぜひCityNextに参加してほしい」と語る。Stockstad氏によると、パブリックセクターでのパートナービジネスの比率は100%。Microsoft全体でも95%がパートナービジネスであるが、ソリューション型のビジネスが中心となる、この領域ではパートナービジネスが前提となる。
CityNextでも、パートナービジネスは基本となり、すでにAccentureやATOS、Schneider Electricをはじめ、数百社がCityNextへの参加を表明。「事前説明におけるパートナーからの手応えは十分」だという。日本からもNECや富士通が参加を表明しているという。
「IT産業の競合他社も、スマートシティに対する取り組みを開始しているが、圧倒的な違いはエコシステムで展開しようとしている点。その厚みは他社にはないものだといえる」と、日本マイクロソフトの織田氏は胸を張る。
日本では10カテゴリで取り組む
では、日本におけるCityNextの取り組みはどうなるのだろうか。
日本マイクロソフトの織田氏は「CityNextは、グローバルで掲げた8カテゴリへの取り組みをもとに、各地域に適したカテゴリへと再編することができる仕組みとなっている。日本では10カテゴリでの取り組みを進める」とする。