一方で、Force.comの場合は、アプリケーションも含め、同社がサービスを保証する仕組みになっています。
PaaSレイヤであるForce.comは、サーバリソースをさまざまなユーザーが共有してアプリケーションを稼働させていることもあり、過激な処理をユーザーがアプリケーションに投げかけるのを防ぐ仕組みとしてGovener制御をしています。APIのコール数が決まっていたり、基準以上に重たいトランザクションを処理させないといったものです。
その意味でも、Force.comはあらゆるシステムを稼働させる仕組みではないといえます。Salesforceはやはりデータベースのスキーマ付きのストレージなので、Amazonよりも高いのは当然です。画像などを入れたりすれば高くなる。そういうものは、AWSのストレージ「Amazon Glacier」などコストの低いものを使ってアーカイブする方がいいはずです。ビッグデータ分析をフルに実施したりといったことにも向いていないでしょう。
われわれとしては「SkyOnDemand」という製品で、オンプレミスとSaaSなどを連携させるサービスを提供しています。今後、ちょっとした連携でも、オンプレミスとSaaSを併用するハイブリッドの形態が当たり前になってくると思います。Salesforce、AWS、Google App Engine、Windows Azure、さらに国産のパブリッククラウドにも対応していきます。
――システム構築を手がけた主な顧客を教えてください。
最大の顧客は、Salesforceを使っているみずほフィナンシャルグループです。証券なら商談管理やプロジェクト型で進める株式上場などの業務に利用しています。金融庁の指導で、例えばグループ内で銀行が証券に融資して、そのお金を証券が運用するような形でお金をグルグル回すような行為が、不正に行われないように透明化することが求められています。いわゆるマネーロンダリングや利益相反関係になることへの対策です。一言で言ってしまうと、「壮大なる名寄せ作業」です。
昨今、損保ジャパン、東京海上日動、オリックスなども導入しています。金融系が多いのが特徴です。
――最近、今後情報システム部門の役割が変化すると言われていますが、そこにクラウド化が関わってきています。これについてどう感じますか?
クラウドをトリガーに、従来2~3年かけてシステムをつくるようなことはなくなるでしょう。なるべく短期間につくってリリースする――その考え方にクラウドがぴったり合います。