沖電気工業(OKI)とヤマトグループは7月19日、OKIの中国での自動支払機(ATM)事業でのサプライチェーン管理システム(SCM)を開発したと発表した。
今回開発されたのは、ATM用の保守部材などの精密機器を効率的に中国全土への輸送を管理するシステムである。両社は7月から、広東省深セン市にあるOKIのATM用の保守部材倉庫から河北省にある保守拠点への輸送で新輸送システムの運用を開始した。順次運用地域を拡大していき、今後3年間で中国ATM保守部材の物流コスト30%削減を目指すという。
新輸送システムでは、現地の物流事情にくわしいOKIが梱包設計技術を提供し、ヤマトグループが最適な輸送手段の選択や輸送状況管理、配送状況通知などを担当する。
OKIは、2005年から中国金融機関へのATM納入を開始、すでに累積8万台以上の納入実績を持ち、入金と出金を同一の端末で処理できる「紙幣環流型」というATMでシェア約50%と同分野トップという。中国での稼働台数の増加と設置地域の内陸部への拡大にともない、約220カ所の保守拠点へ送付する保守部材の輸送体制と修理、供給体制の強化を必要としていた。
一方、ヤマトグループは、2005年に同社の中国法人である雅瑪多国際物流有限公司を設立し、中国国内にロジスティクス事業の拠点を展開。中国国内で輸送管理に加えて、リードタイムと物量に応じた最適な物流網の選定や現地配送業者の管理などのノウハウを蓄積してきたと説明する。
OKIは「中国国内においては荷物の輸送状況を把握するのが困難であったが、今回の提携で取り扱いに注意を要する精密機器でもロスなく運べるようになるのではないか」とコメントしている。
OKIは、保守拠点からの修理部材の回収についても、新輸送システムの利用を検討しており、ヤマトグループの持つ貨物追跡や輸送品質改善などのノウハウを生かし、物流体制の強化を進めるとしている。