本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本IBMのVivek Mahajan 専務執行役員と、日本HPの福岡英治 事業本部長の発言を紹介する。
「これからのSIにはDevOpsへの取り組みが一層求められるようになってくる」(日本IBM Vivek Mahajan 専務執行役員)

日本IBM 専務執行役員 Vivek Mahajan氏
日本IBMは7月11日、ソフトウェア開発を支援する「IBM Rational」事業におけるDevOps(開発運用連携)戦略について説明会を開き、それに基づいて米IBMが4月に買収した「UrbanCode」製品を同日より日本で販売開始すると発表した。同社の専務執行役員でソフトウェア事業を統括するVivek Mahajan(ヴィベック・マハジャン)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、従来のシステムインテグレーション(SI)とDevOpsの関係を聞かれて答えたものである。
Mahajan氏は会見の冒頭で「クラウドやモバイルに代表されるコンピューティングの新時代を迎えつつある中で、ワークロードの変化に伴ってシステムデリバリーへの要件も大きく変わってきている。こうした変化に対応するため、開発と運用をつなぐ手法であるDevOpsへのニーズが高まってきている」と説明した。
IBMでは、DevOpsのライフサイクルを開発と運用だけにとどめず、計画と計測、開発とテスト、リリースとデプロイ、監視と最適化といったトータルなライフサイクル環境の整備を目指しているという。そうした観点から市場の機会をとらえ、顧客からのフィードバック時間を短縮するための、より高速で継続的なソフトウェアのデリバリーを支援するソリューションを提供している。
今回発表されたUrbanCode製品は、そうしたDevOpsのライフサイクルの強化に向け、アプリケーションリリースの自動化を可能にしたものである。同製品のさらに詳しい説明については、すでに報道されているので関連記事を参照いただくとして、ここではMahajan氏の冒頭の発言にまつわる会見での質疑応答のやりとりを紹介しておきたい。
質問は、これまで開発と運用における連携が乏しかったSIにDevOpsを適用するのは困難ではないか、というものだった。これに対するMahajan氏らの答えは次のような内容だった。
「確かに、これまでのウォーターフォール型のSIでは、DevOpsの効果を得るのは難しいところがあるが、アウトソーシングの領域だと効果が期待できると考えている。ただ、企業が今もっとも求められているビジネスへのスピーディーな対応を考えると、今後は従来型のSIではなく、DevOpsをいかに取り込んでいくかが企業競争力の決め手になってくるのではないか」
その上でMahajan氏は、「IBMはDevOps市場において、これまでにも増してリーダーシップを発揮し、顧客に一層高い価値を提供していきたい」と強調した。