オフショア開発、ベトナムの魅力とは--エボラブル アジアに見るビジネスの流儀(1) - (page 2)

坂本純子 (編集部) 2013年08月02日 07時30分

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「日本人と仕事がしたい」--親日で勤勉なベトナム人

採用などを担当するエボラブル アジアの岩淵由香理氏
採用などを担当するエボラブル アジアの岩淵由香理氏

 ベトナムでの開発の魅力を日本人に聞くと、多くの人は「勤勉さ」と「親日」を挙げる。採用などを担当するエボラブル アジアの岩淵由香理氏は、「ベトナム人は勉強熱心。成長できないと判断すれば、入って3日でやめる。心をつかむのにどうするか。こちらも意欲がなくならないように努力しないといけない」と話す。

 4月に入社したBPOマネジャーのHoang Phuong Buu Khanhさんは、岩淵氏とともに採用から法務的な書類作成まで幅広くこなす。留学をきっかけに日本に12年いたが、「管理職を目指したかった。将来の展望とマッチするところを探していた」とベトナムに戻ってきた理由を語る。「ベトナム人は専門知識をもっている人に対して尊敬しますが、自分の上司が自分より知識が低いと思われればなめられる」(Khanh氏)。

4月に入社したBPOマネジャーのHoang Phuong Buu Khanhさん
4月に入社したBPOマネジャーのHoang Phuong Buu Khanhさん

 時間外に日本語教室を運営しており、開発チームは無償で受講できる環境だ。スタッフは、およそ80年代、若いと90年生まれだという。「素直でまじめ。勉強するチャンスを提供できれば、長く勤めてもらえる」(岩淵氏)

 たとえば、フロアを増設する際には、社内のデザイナーに働きたいオフィスを尋ねる。「こういう机がいいんじゃないか。そういうオフィスをつくろうと──と盛り上がった。自分の描いたデザインがオフィスになったら嬉しいですよね。日本人の考えだけでつくったら意味がない」(岩淵氏)

 現地のスタッフの意見を取り入れ、モチベーションの上がるオフィス環境の整備にも力を入れる。日頃からのコミュニケーションも日本人同士以上に大事だという。「コーヒーを飲みにいったり、髪切った?とかネイル可愛いね、といったたわいもないない一言で、人と人とのつながりを感じられるようです。逆にパワーで押さえつけたら離れていく」(岩淵氏)

 向上心が高い一方で、ベトナムのエンジニアは売り手市場であるため、人材競争が激しく離職率も高い。給与交渉も激しいという。また、時間にルーズな面や残業をしたがらないなど、日本との文化の違いを感じさせる側面もあるようだ。

 「日本の文化はサービス精神が旺盛です。人がなにを求めているのか。なにをしたら人がよろこぶかを考える。でもベトナムでは、お客様がエレベーターに乗るときにボタンを押さないとか、社長が立っていたら、通りたいからと社長を肘でどかしてしまうような、日本人からみたら驚いてしまうようなことも起きる」(岩淵氏)

 そんな時は、きちんとなにが良くないかを説明するという。日本では「仕事なんだから」とドライになりがちなところも、そこはお互いに文化の違いを埋める努力が必要になるとした。

オフショア開発のコストとメリット--エボラブル アジアの場合

壁には現地時間と東京に合わせた2つの時計が掛けられている
壁には現地時間と東京に合わせた2つの時計が掛けられている

 ベトナム人スタッフの人事や総務、法務、経理といった業務はエボラブル アジアが担当するほか、ベトナム駐在する日本人スタッフのビザの申請や駐在に必要な手続きもサポートする。PCやデスクなどの仕事環境もエボラブル アジアが用意するため、日本からベトナムに到着してすぐに業務をスタートできる。

 オフィス内の交流も活発だ。日本人が1名だけのチームでも、他のチームの日本人と相談なども気軽にでき、ストレスを軽減できる環境にあるという。

 ベトナムは電気が不安定で、停電も日常茶飯事という。あるスタッフは帰宅したとたんに玄関のゲートが停電により開かなくなり、2時間も外で待つことになったという。オフィスはインテリジェントビルで停電そのものが少ないほか、各席に電源装置を配備し、いざという時に備えているという。

 コストはエンジニアのスキルによって異なるが、エボラブル アジアの場合、新卒程度のエンジニアは1人あたり週5日40時間労働で18万円~。残業は1時間1650円~となる。リーダーとして従事でき、日本語ができる「ブリッジエンジニア」と呼ばれるエンジニアの場合は月額27万円~で、残業は1時間2500円。契約期間は1年で、初期費用として人月分×3カ月が必要となる(解約時に返金)。

 データ入力業務やPhotoshopでの画像加工といったオペレーションスタッフの場合、週5時間40時間労働で9万8000円~。日勤(8時~17時)、遅番(12時~21時)、夜勤(23時~8時)とシフトを分けられる。

 契約期間は1年で、契約期間の終了3カ月前に申し出れば、撤退する場合でも費用はかからない。スタッフの解雇作業なども不要だ。もしプロジェクトが上手くいき、そのまま会社設立したい場合は、4カ月分の費用を払うとチームごと「移籍」して会社を設立でき、現地法人設立の試金石としても活用できるとしている。

 自社で会社を設立する場合、会社申請やオフィスの選定などの設立準備、採用やテスト、運用調整などの開発準備といったリードタイムをカットできる。また、ベトナムで外資100%ライセンスのビザ取得は最低でも4カ月程度、場合によっては半年以上かかるという。1年単位の契約にすることで、エボラブル アジアにとっては事業戦略を建てやすくなるメリットがある。

 次回は、現地に赴任する日本人がベトナムをどう見ているかについてお伝えする。

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