2012年にForrester ConsultingがHPの意向を受けて発表したレポートによれば、アジャイル開発の考え方は、ユーザーのニーズに合ったアプリケーション開発に使える数多くの方法論の1つだ。
この「Agile Software Development and Factors that Drive Success(アジャイルソフトウェア開発と、成功をもたらす要因)」と題する調査は、アプリケーション開発の慣習と成功について、112人のプロフェッショナルを対象に調査したものだ。この調査では、アプリケーション開発に成功している企業は、アジャイル開発の手法を用いることでさらに成功していることが明らかになった。
例えば複数の回答者は、ビジネス状況が大きく変化した際の影響を抑えるため、一度に進行させる作業の量を制限するというアジャイル開発の慣習は、コーディングが開始されるまでに要件が変わる事態を防ぐのに役立つが、全体的な成功を左右する要因としては、アジャイル開発の採用以外の影響の方が大きかったとしている。
また、アプリケーション開発にそれほど成功していない企業に属する回答者も、アジャイルの要素を用いていたと回答していた。この調査の結論は、単にアジャイルを導入しただけでは成功するとは限らないというものだ。同レポートには「アジャイルソフトウェア開発は、大きな道具箱の道具の1つに過ぎない」と書かれている。「間抜けが道具を持っても、間抜けのままだ」
開発者が素早く、反復的なアプリ改善スケジュールを伴う「モバイル優先」のアプローチに移行すると、アジャイル開発の恩恵はさらに増すと筆者は考えている。
モバイル優先指向のよいところの1つは、長年にわたり懸案になってきた、アプリの単純化と使いやすさの向上にプラスに働くことだ。新しいアプリがモバイルデバイスへの展開を優先して設計されると、モバイルの制約による要件が出てくる。
これをアジャイル開発、そしてスピードの原則を組み合わせ、ユーザーの求める要件を重視すれば、プロジェクトが脱線するのを防ぐのに役立つはずだ。修正や更新もある程度は抑制される。モバイル優先の方針は、巨大なアプリケーションが雪だるま式に大きくなるのを防ぎ、より小さく、管理しやすいアプリのリリースを促す。
モバイル優先の設計の利点と、アジャイル開発の手法の組み合わせは、SaaS、クラウド、VDI、ウェブや、クライアント―サーバアプリケーションにまでも拡張することができるはずだ。
(BriefingsDirectへの寄稿者であるCara Garretson氏が、この記事に関する編集補助と調査で協力している)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。