アクセンチュアは8月1日、「横浜市スマートシティプロジェクト」で行われている需要応答(デマンドレスポンス Demand Response/DR)の夏季実証実験において、SAPの料金計算ソリューションを基盤とし、デマンドレスポンス対応の料金計算システムを構築し、稼働を開始したと発表した。
需要応答とは電力網においての需要(デマンド、特にピーク需要時)に応えてユーザーが電力消費を低減し、他の需要家に余剰電力を供給するという取り組みや仕組みのことである。
横浜市スマートシティプロジェクトは、一般家庭にエネルギーマネジメントシステムを導入し、地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)と連携した市内約1900世帯を対象に、2013年の夏季電力需要ピーク期に合わせDRの実証実験を行うという取り組みである。今回構築された料金計算システムでは、東芝が開発している地域エネルギーマネジメントシステムと連携し、DRの料金計算を行う。
横浜市スマートシティプロジェクトで行われるDR夏季実証実験は、前日の天気予報などから電力需給のひっ迫が予想される場合に、地域内の電力需要家に対し、ピーク時間帯の電力使用抑制の協力依頼を行い、削減量に応じてインセンティブを支払うことで電力ピークのカットを目的としているという。
今回アクセンチュアが構築したDR対応料金計算システムは、地域内の住宅エネルギー管理システムだけではなく、ビルエネルギーマネジメントシステム、電気自動車、充電スタンドなども対象とする。これらの対象などから需要家の30分単位の電力使用情報や太陽光発電による売電情報などを地域エネルギーマネジメントシステムに集約し、電力単価などとともに日単位で料金計算システムに送信できる。
これらの情報を受けた料金計算システムは、需要家ごとに設定されたDRの料金メニューに応じて料金計算し、エネルギーマネジメントシステムに送信、電力使用情報などとともに需要家のパソコンやタブレット端末で確認できる状態となる。これにより、電力需給状況に応じた需要の調整を促すことができるという。
同料金計算システムは、国内初導入となるSAP Energy Data Management、およびSAP Customer Relationship Management and Billing for Utilitiesを基盤としている。SAPとSAPパートナー企業の共同開発検証センターであるSAP COIL(SAP Co-Innovation Lab)を活用して、アクセンチュアがシステム構築を行なったという。SAP Energy Data Managementは、電力使用情報や電力単価などを30分単位で管理し、30分単位や日単位での料金計算を行うことができるとした。
また、SAP Customer Relationship Management and Billing for Utilitiesは電力事業における料金計算業務全般をサポートするとした。アクセンチュアは、このSAPのソリューションを基盤として活用し、横浜市スマートシティプロジェクトにおいて、エネルギーマネジメントシステムなどの需要対応料金計算システムの要件定義、構築を行い、2015年3月まで同システムの運用も担う。