デジタル化が変える購買行動--アクセンチュアが消費財メーカーに訴える経営モデルの変革 - (page 2)

田中好伸 (編集部) Emi KAMINO

2013-08-13 08:00

 今回のようなオペレーティングモデルは、例えばMcKinseyのような戦略的コンサルティングに特化した企業が打ち出すことが多いように思われる。こうした新たな経営モデルがAccentureのような企業から発表されるというのも異例だ。日本法人アクセンチュアの製造・流通本部 一般消費財業界グループ統括の関一則氏は、消費財メーカー向けのオペレーティングモデルの意義をこう強調する。

 「アクセンチュアは、業界横断の知見をもっているだけではなく、変革のための戦略策定から業務改革、その先の運用まで包括的にビジネスとして提供できます。変革のビジョンを示すだけではなく、ユーザー企業のビジネスパートナーとして、ともに企業の成長をドライブできるアクセンチュアだからこそ、こうしたオペレーティングモデルの意義があるのです」

 6月に日本で行われた、消費財関連企業の業界団体であるThe Consumer Goods Forumが主催するイベント「グローバルサミット2013 ~Asia Shaping Your Future(アジア、未来の創生)~」では、Accentureで消費財業界を統括するグローバル・マネジング・ディレクターのFabio Vacirca氏が登壇した。同氏は、海外への事業展開やデジタル化に積極的で、アクセンチュアを戦略的なパートナーと評するアサヒビール代表取締役社長の小路明善氏と「グローバル市場での成長を加速するオペレーティングモデルのデジタル化」について共同で講演に立った。

 Vacirca氏自身、グローバルでビジネスを展開する消費財メーカーのProcter & Gamble(P&G)で働いていた経験もあり、消費財メーカーに20年以上携わっている。Vacirca氏に今回のオペレーティングモデルの背景やメリットなどを聞いた。

デジタル化が変えるもの

――今回、消費財向けのオペレーティングモデルを発表した背景には、どういったことが挙げられるのか。


Fabio Vacirca氏

 まず、第一に消費者自体のトレンドが変わりつつあるということが挙げられます。先進国では、消費者の環境意識がますます高くなり、高齢化が進んできています。

 一方で新興国では、10億人といわれる新たな消費者が生まれつつあります。さらにインドのような国では、農村部から都市への転出者が急増してきているなど、都市化が進んでいるという流れがあります。そして新興国、先進国を問わない全体的なトレンドとして、こうした消費者がすべてデジタル化してきているということがいえます。

 こうした新興国の新たな消費者たちは、スマートデバイスなどを使って情報にアクセスすることに多くの時間を費やしており、日々、このデジタルな世界から大きな影響を受けています。そして、このような消費者の変化のトレンドに合わせて、テクノロジの進化は今までにはなかった、さまざまな可能性を産み出しています。

――こうした消費者と技術という2つの大きなトレンドの変化は、消費財を提供する企業にどういった影響をもたらすのか。

 第一には、デジタルマーケティングの台頭が挙げられると思います。これまでの典型的な消費財企業というのは、マーケティングやメディア広告に多大な費用を費やしていました。代理店や報道機関といったメディアのエコシステムは、こうした大々的なマーケティングを展開する上での担い手だったわけです。

 しかし、デジタルの世界では、これが“中抜き(disintermediation)”の状況になってきます。消費財の企業は、自社でマーケティングコンテンツを作り出し、それらを最終的なエンドユーザーである消費者に直接発信する情報発信主体にもなってくるでしょう。

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