「オラクルが長年グローバルで培ってきた“学び”と最新技術で、日本の電力システム改革を支援したい」(日本オラクル 芝好勇治 セールスディレクター)
日本オラクルの芝好勇治 セールスディレクター
日本オラクルが7月23日、電力・ガス・水道などの公益業界向けアプリケーション製品「Oracle Utilities」の最新版を同日より提供開始すると発表した。同社の公益グローバル・ビジネス・ユニットでセールスディレクターを務める芝好氏の冒頭の発言は、その発表会見で、最新版の提案への意気込みを語ったものである。
Oracle Utilitiesは、同業界向けに特化した料金・顧客管理、自動配電管理、メーターデータ管理、作業管理など、配電から小売業務までを支援する。最新版では、料金・顧客管理アプリケーション「Oracle Utilities Customer Care and Billing 2.4」、メーターデータ管理アプリケーション「Oracle Meter Data Management 2.1」、スマートグリッドネットワークと統合するためのアプリケーション「Oracle Smart Grid Gateway」の3製品が機能強化された。
これらの詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは電力システム改革関連法案をめぐる動きと、この分野に向けた日本オラクルの取り組みに注目したい。
電力システム改革関連法案は参院選前に廃案になったが、同選挙で与党が圧勝したことから、今秋の臨時国会で成立する可能性が高くなった。政府が4月に閣議決定した電力システム改革は、2016年に小売への参入規制を撤廃する予定で、どの企業でも家庭向けに電力を供給できるようになる、というものだ。
また、2018~2020年をメドに電力会社から送配電部門を分社化する発送電分離を実施することに加えて、電気料金の規制もなくなる。小売の全面自由化や発送電分離が実現すれば、地域や業種をまたいだ競争が激化するのは必至だ。
そうした動きの中で、日本オラクルは4月、電力業界向けシステムへの新たな取り組みを開始すると発表した。その内容は、政府が推進する電力システム改革のうち、「小売および発電の全面自由化」と「発送電分離」の2分野に焦点をあて、北米・欧州・アジア地域における電力自由化やそれに伴う発送電分離、スマートグリッド構築などでオラクルが培ってきた実績とノウハウを生かして、日本の電力・エネルギー会社や新たに電力参入を検討している会社、官公庁・自治体などに対して、情報システムの提案力を強化していこうというものだ。
今回の発表はこうした取り組みの一環だが、今秋の臨時国会での法案成立が濃厚になってきただけに、同社としては重点領域の1つとして注力していく構えだ。ちなみに、同社のこの分野における発表のタイミングを見ると、4月が閣議決定後で今回は参院選直後。立て続けの会見に力の入れようがうかがえた。
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