日本オラクルは先日、クラウドアプリケーション基盤製品群の最新版「Oracle Cloud Application Foundation 12c」を発表した。Cloud Application Foundation 12cの最大の特徴は「統合(Integration)」にある。さなざまなレベルで実施された機能の統合により、全体としてこれまでより製品を一段上のレベルに引き上げているという。
Cloud Application Foundation 12cは、クラウドでシステムを構築することを目的とした製品群だ。異なる場所のデータセンターに配置された複数のサーバをあたかも単一のシステムとして扱えるようにする。
現在の企業システムは事業継続の確保や災害対策のために1カ所のデータセンターでシステムを構築するのではなく、複数のデータセンターにサーバを配置して構築することが多い。Cloud Application Foundation 12cはこうしたクラウドシステムを実現するものだ。
Frances Zhao-Perez氏
Cloud Application Foundationで、WebLogic ServerとOracle Databaseの連携機能の開発責任者を務めたFrances Zhao-Perez氏は、Cloud Application Foundation 12cの特徴を「Transaction Guard」と呼ぶAPIと、それを利用する機能である「Application Continuity」という2つの切り口で話す。
「これまでデータベースとミドルウェアの間で問題が発生した場合、これを復旧する簡単な方法は存在しなかった。Cloud Application Foundation 12cはユーザーからの要望に応え、初めてこれを実現した。これを実現するための機能をTransaction Guardと呼んでいる。Transaction Guardはトランザクションコミットを保証しており、この機能が有効になっている限りデータロスは発生しない」(Zhao氏)
同氏は続ける。「さらに、Transaction Guardを使ってデータベースとミドルウェアを自動的に復旧させる新機能がApplication Continuityだ」。例えば、WebLogicにひもづく3台のデータベースがある場合、1台が障害を起こした際に、データベースがFAN(Fast Application Notification)と呼ぶ仕組みでいち早く障害をWebLogicに知らせる。それを受けて、障害を起こしたデータベースが処理するはずだったトランザクションを、残りの2つのデータベースに実行させるように命令する。
これにより「障害が発生した後でも、ミドルウェアは自動的にデータベースと再接続される。運用管理の面で大きな利益がある」(同氏)。
コンセプトはプラガブル
Cloud Application Foundation 12cで導入された機能として「マルチテナンシーデータベース」も注目される。これは、コンセントを指したり抜いたりするイメージである「プラガブル」(plugable)なデータベースというコンセプトのもとで導入された仮想データベースだ。
複数の物理データベースをバックエンドに持ち、この上に仮想データベースを構築できるというもの。仮想化技術を使って隔離することで高いセキュリティを保ちつつ、同時に高いスケーラビリティを実現している。データベースへのアクセスが必要なユーザーに対して、必要な時に、必要なリソースを割り当てて迅速にデータベースサービスを提供できる。