日本オラクルは8月20日、分析に特化したエンジニアドシステムの新版「Oracle Exalytics In-Memory Machine X3-4」の提供を開始した。米国で7月15日(現地時間)に発表された製品で、旧版の「X2-4」と比較して、メモリを1Tバイトから2Tバイトに、ストレージとしてHDDを3.6Tバイトから5.4Tバイトに増加させるともに、新たにフラッシュメモリ2.4Tバイトを搭載した。価格は17万5000ドルから(旧モデルは13万5000ドル)。
発表にあたった専務執行役員でテクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、新版の特徴として、ハードウェアの増強により分析のパフォーマンスが向上したことに加え、ビッグデータ時代を見据えた3つのコンセプトを実現していることがポイントだと説明した。
日本オラクル 専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏
「3つのコンセプトとは、モバイル、ユーザー志向、インテグレーションのこと。ビッグデータというと、データサイエンティストのような高度な分析に注目が集まるが、実際に情報を活用していく上では、働き方にあわせて必要な情報を提供し、誰もが高度な分析ができ、それらを標準化していくことも大切だ。われわれはコンピュータメーカーとして、そうした環境をもう一段突き詰め、これまでにないコンピューティング環境を提供する」(三澤氏)
新版では、これら3つのコンセプトに沿って、ソフトウェアや機能が強化された。モバイルの強化については、新たに「BI Mobile App Designer」と呼ばれるモバイルアプリ作成ツールの提供を開始した。
BI Mobile App Designerは、iOSやAndroidといったモバイル端末向けにHTML5ベースのモバイルアプリを簡単に作成できるようにするツール。ビジネスインテリジェンス(BI)ツールスイート「Oracle BI Enterprise Edition(EE)」や「Oracle BI Foundation Suite」などのモバイル向けコンポーネント「Oracle BI Mobile」の一部として提供される。
アプリの画面はドラッグ&ドロップで作成でき、端末の画面サイズの設計などを行う必要もなく、一度作成したアプリを複数の端末に展開可能。ビジネスユーザーがセルフサービスでアプリを開発できることが最大の特徴となる。
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会場で行われたデモでは、医薬品メーカーが医薬品の販売実績を四半期ごと、国ごと、薬品ごとにグラフ表示したり、売れ筋の傾向を分析するためのレポートを見やすく表示したりするためのサンプルアプリを紹介した。PC上で表示した画面は、iPadでもまったく同じように表示でき、端末の回転に合わせて表示を変えるといった動作にも対応することを示した。
モバイルについては、セキュリティや管理の容易性についても強化した。セキュリティについては、Oracle BI ServerとOracle BI Mobile(クライアント)との間の通信がSSL暗号されること、「Oracle BI Mobile Security Toolkit」を利用して各種セキュリティ製品との連携できることなどを示した。
アクセス権は、サーバサイドで一括してコントロールでき、コンテンツのローカル保存を禁止できることなどをポイントとして挙げた。通信の暗号化といったセキュリティ機能を利用することで負荷が増加した場合でも、Exalyticsでは高速な処理が維持できるという。
管理容易性については、企業内部にアプリストアをを構築することで、 例えばAppleの「App Store」のようなマーケットや審査に依存しないアプリの配布が可能であることを指している。