AOKIホールディングスはグループ全体の基幹業務システムを統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「SAP ERP 6.0」で統一、4月から稼働させている。SAPジャパンとコベルコシステムが8月21日に発表した。
AOKIホールディングスはグループの持ち株会社であり、ファッション事業のAOKI、ブライダル事業のアニヴェルセル、エンターテインメント事業のヴァリックなど複数のグループ会社の経営を管理している。グループ関連店舗の新規出店数が加速的に増加する中で、業種業態が異なるグループ会社の経営を判断するためのデータを素早く集積するとともに、連結決算業務を効率化することが喫緊の課題だったという。
このような背景のもと、AOKIホールディングスと各事業会社では、今後の店舗拡大や将来的なグローバル化の可能性など、10年先の経営を見据えた、変化に対応できる仕組み作りを目指し、グループ全体でシステムの統一化を図ることを決定した。
AOKIホールディングスでは、急速な事業拡大にも柔軟に対応できるとして、SAP ERPの拡張性を評価し、2011年に新システム導入を決定した。今後の国際会計基準(IFRS)対応も視野に入れて、IFRS対応帳票を数多く備え、この分野でのグローバル実績が豊富なことも決定の要素だったという。
導入プロジェクトは2012年3月に開始。この4月から稼働を開始した。AOKIホールディングスの場合、グループ会社ごとに業態が異なるため、データの種類がバラバラな点が統一システムでの最大の課題だったと説明している。
財務報告書などを作成するための制度会計となる財務会計システムは、SAP ERP 6.0とコベルコのテンプレートをベースに、グループ企業各社で“仕組みの標準化”を推し進めたという。一方、事業会社ごとに異なるデータや主要業績評価指標(KPI)を吸収するために、持ち株会社で経営を管理するための管理会計では、各事業の非財務データと標準化した財務データを融合し、グループ企業各社の経営を管理する業務を行えるようプロジェクトを進めたという。
予実管理と管理会計には、SAPの予算計画管理ソフトウェア「SAP Business Planning and Consolidation(BPC)」を導入した。SAP BPCでは、使い慣れたExcelのインターフェースで一元的にデータを収集し、予実対比や計画策定などの経営管理を展開できるようになっているという。
これらの施策で財務会計と管理会計から、必要な時に必要な部門が必要なデータを柔軟に取り出せるようになり、経営に直結するシステムとして活用できるようになったとメリットを説明している。