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セキュリティの論点

脅威の本質を知る:標的型攻撃--根底にあるのは“強い思い” - (page 2)

中山貴禎(ネットエージェント)

2013-08-27 11:00

正義の味方? それとも犯罪者?

 例えば、こんな事例があります。

 とあるウェブサイトで、管理者がそのサイトの会員に対して児童ポルノを閲覧させる、という行為が行われていました。とある組織がこの事実に気付き、このウェブサイトに対して標的型攻撃を仕掛けました。そして、そのウェブサイトを閉鎖に追い込むだけに留まらず、そのサイトの会員名簿をインターネット上に公開したのです。

 この例における被害者、つまり「ターゲット」となったサイトが行っていた事は、まぎれもなく犯罪行為です。そして、この攻撃者の「犯行理由」は正義感でしょう。その「目的」は恐らく、犯罪行為を止めさせ、犯罪に関わっている者たち全員に社会的な制裁を与える事だったのでしょう。

 攻撃者は、国家の法や国際法には則らず、自分や仲間たちの中だけで善悪を判断し、自分や仲間たちの中だけで「犯罪人」に対する報復内容を決定し、自分や仲間たちの中だけでその制裁を実行することもあります。

 一見すると、この行動は「正しい事」と感じる人も多いかもしれませんが、当然ながら、現実にこのような行為を法治国家において実行してしまうと、それは「私的制裁」、立派な犯罪行為です。攻撃者の逆鱗に触れるような行為を行い、その報いとして攻撃を受けることになった。このような、行き過ぎた正義感からの「私的制裁」も、標的型攻撃として典型的なケースの1つです。標的型攻撃が単純な愉快犯や営利目的による通常の攻撃とは明確に異なる点の1つが、こうした攻撃を仕掛ける「理由」の部分です。

根底にあるのは「強い想い」

 ともあれ、標的型攻撃の根底には相手に対する「強い感情」があります。「ポジティブな感情」と「ネガティブな感情」、どちらのケースもそれぞれありますが、どちらかと言うとストーカーの場合は前者が、標的型攻撃の攻撃者は後者が理由になる場合が比較的多いような気がします。

 先ほどの例のような「正義感」もそうですが、相手への直接的な「怨恨」も、もちろん理由の1つです。また「信条」や「宗教」、所属する「国家や組織の意向の対立」といった、どうしても、決して受け入れることのできない「相手に対する強い感情」を理由の根底に抱える攻撃は、そう簡単には止められないですよね。

 攻撃者も「それ相応の理由」があって攻撃するのですから、それを中止しようと思うには、やはり相応の理由が必要になります。逆に言えば、被害者の側には攻撃者に攻撃をされる何らかの理由がある、とも言えます。もちろん、それが正当である(被害者側に明らかに非がある)とは限りませんが。

 男女間でも、例えば勘違い、逆恨み、無意識の言動によるもの、すれ違い、そして国による文化の違いなど、こうしたきっかけでストーカーになったり、逆に被害に遭ったりするケース、ありますね。標的型攻撃も、根っこの部分のベクトルはそれに近いものがあると感じます。

 標的型攻撃の対策において厄介なのは、攻撃者のこうした「強い想い」なのです。

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