拡張現実は次の一大トレンドになるのか

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2013-08-30 07:30

 モバイル機器市場での競争が激化するなか、IT企業は将来的利益のための選択肢を模索し始めている。これにはウェアラブルテクノロジや拡張現実(AR)の可能性も含まれている。


 携帯用デバイスは、それが腕時計であるかヘッドセットであるかにかかわらず、体に装着できるようにすることで、デバイスの対話性を向上させられるようになる。Appleやサムスンはいずれもスマートウォッチを開発中であるとうわさされており、一方「Google Glass」は、装着者の視界に情報を表示するだけにとどまらない対話性を実現した最も顕著な例の1つとなっている。

 次は何が来るのだろうか?Investor's Business Dailyが考察しているように、おそらくは拡張現実だろう。拡張現実とはモバイル機器やヘッドギア、眼鏡の使用によってユーザーの環境を事実上拡張するというものだ。これはモバイルアプリと、どこからでもインターネットに接続できるという状況を組み合わせ、一歩先に進めたものと言える。

 調査会社GartnerのアナリストTuong Nguyen氏は「ユーザーは電話をかけているかどうか、カメラのファインダーをのぞき込んでいるか、眼鏡をかけているかどうかに関係なく、もう1組の目を持つことになる--ユーザーは見ている対象のコンテンツや場所、対象そのもののイメージに基づいた関連情報を目にするのだ」と述べている。

 コンシューマー向けやビジネス向けの拡張現実の研究開発はまだ始まったばかりだが、Hewlett-Packard(HP)やQualcomm、キヤノン、Googleなどの企業はこの分野に精力的に取り組もうとしている。HPとQualcommはマーケティングキャンペーンの価値を高めるためのモバイル機器向け画像認識ソフトウェアを開発している。一方キヤノンは、左右の目それぞれの近くに配置されたデジタルカメラによって撮影した映像に仮想イメージを重ね合わせるようにするヘッドマウント型の拡張現実プラットフォームを開発している。また、Google Glassは拡張現実を念頭に置いて作られた機器ではないが、開発者らは2013年中に予定されている同製品の一般発売に先立って拡張現実というコンセプトを追求しているところだ。

 AudiやThe Walt Disney Company、Leap Motionは既に拡張現実テクノロジを用いた応用事例を開発しており、まだまだこのトレンドは続いていきそうだ。

 他の企業も、将来的に数十億ドル規模になる可能性のあるこの市場の可能性を探求している。例えば、Infinity ARはデジタル眼鏡やスマートフォン、タブレットを用いた拡張現実プラットフォームを開発するという目標のもと、イスラエルのテルアビブに研究開発センターを設置している。

 調査会社IDCのアナリストJohn Jackson氏は以下のような意見を述べている。

 この分野は現在、ゴールドラッシュ時代の様相を呈しており、誰が頭角を現すかを予測するのは難しい。この分野は、さまざまなテクノロジを活用し、それらをマッシュアップすることで、ユーザーを取り巻く世界とのやり取りに革命をもたらす新たな方法を提供するプラットフォームであると考える必要がある。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]