2日目の基調講演で、ほんの数クリックでクラウド上にハイブリッドクラウドの仮想環境を構築しました。あそこまできれいにできるのなら、かなりすばらしいと思います。日本のユーザーには、体感できることが特に求められるからです。
いずれにしても、VMwareがパブリッククラウドに参入することが、IT業界の再編の呼び水になる可能性はあります。具体的には、AWSは無視できない存在です。VMwareが、サーバ仮想化の専門ベンダーから、領域を広げてくると業界の力関係が変わるかもしれません。通信キャリアなどとの関わりが強まるとも感じています。
ユーザーにとってのインパクト
利用企業へのインパクトという意味では、アプリケーションの提供速度がカギになるでしょう。企業向けとコンシューマー向けでは、それぞれコンプライアンスやセキュリティの考え方が違いますが、企業向けは遅くなる傾向にあります。
その理由の1つに、ネットワーク整備にボトルネックがある点が挙げられます。その意味で、NSXを提供し、求められるアプリケーションをより早くリリースできる環境を提供できることに意味があると考えます。
もちろん、そのようなアプリケーションが存在しているかどうかという別の課題もあります。
VMwareの今後の課題
米Constellation ResearchのHolger Muller氏
Holger Muller VMwareの今後は、厳しい面もあると思います。今回、来場者が多かったことには驚きましたが、ネットワークやストレージ分野における製品購入の意思決定権が多いわけではないようでした。VMwareには、意思決定権を持つ人々にアプローチする体制作りが求められます。
Ray Wang ネットワークを仮想化するサービスとしてNSXを開始し、インフラの分野を押さえたことで、VMwareに今後のイノベーションの可能性を感じます。また、EMCの子会社として、EMCのチャネルや顧客ベースを活用することも大きいと考えます。
米Constellation ResearchのCEO、Ray Wang氏
また、2013年にエンドユーザーコンピューティング担当の上級副社長として入社したSanjay Poonen(サンジェイ・プーネン)氏に注目しています。(SAPに7年間在籍し、アナリティクスビジネスを立ち上げ、分析、データベース、ビッグデータ、モビリティなどで責任者を務め、開発とセールスで実績を持つ)Poonen氏の加入により、今後買収なども含めた新たな事業展開をしていくのではないかと考えています。
サーバとネットワークは担当が別
アナリストの意見では、ネットワークの仮想化をサービス化したことについて、おおむね好意的なものが多かった。また、VMwareの社員からも「今回の製品およびサービス発表は自身にとってかなり画期的なものだった」との声があった。
一方で、日本法人社長の三木泰雄氏は「ネットワーク仮想化には大きな可能性を感じているものの、多くの企業では、サーバ仮想化を担当するIT部門と、ネットワークを担当する部門が分離していることが多い」点を挙げ、必ずしも一筋縄にはいかないとの考えを示した。
Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebook、Twitter、RSS、メールマガジンでも情報を配信しています。