販売については「かんたんセットアップガイド」の配布、パートナーと共同した顧客向けセミナーの開催、オンライントレーニングの拡充、技術者向けポータルサイト「F5 Tech Depot」の活用促進などを実施する。パートナー向けには、新しいパートナーカテゴリとして「Integration Partner」を設け、ハンズオントレーニングを実施するなど、新規市場に向けた支援策を推進する。パートナーは現在30社だが100社程度まで拡大させる方針だという。
一方、BIG-IP v11.4については、SDNゲートウェイ、iCallエンジン、ScaleNの3つの新機能が解説された。帆士氏は、クラウド環境でのネットワークの変化とニーズについて、「物理的なデータセンターやネットワーク構成に依存せずに、アプリケーションを自在かつ迅速に提供するネットワークをソフトウェアから一元管理できる仮想化や自動化のテクノロジ要件が高まっている」と指摘。新機能は、そうした仮想化や自動化に対応するものだと説明した。

※クリックすると拡大画像が見られます
SDNゲートウェイについては、ADCとして初めてVXLANに対応したことをアピールした。BIG-IPをVXLANのトンネリングエンドポイント「VTEP」として設置すると、L2網でIPを付け直さずに、VXLANとVLANとの間で負荷分散したり、セキュリティ設定を他方に持って行ったりすることが可能になる。すでにテレコムやクラウドプロバイダーで検証を開始しているという。オプションとして提供され、価格は、BIG-IPの場合で102万円、ハイエンド製品の「VIPRION」の場合で170万円。
iCallエンジンは、BIG-IPの設定を包括的に管理し、運用を自動化するための機能となる。ネットワーク内で発生したイベントにもとづいて、スクリプトを使ったアクションを実行する。たとえば、データセンター内でサーバを追加した時にDHCPリクエストを検出して、iCall Scriptを通して、ロードバランシングプールに新サーバを自動的に追加するといったことが可能。その際に、ロードバランシングの比率やロジック、外部への通知の送信なども設定できる。

※クリックすると拡大画像が見られます
3つめのScaleNの機能強化では、機種や物理か仮想かなどを問わずに、ADCのリソースを柔軟にスケールアップ/ダウン、スケールイン/アウトできるようになった。具体的には、必要なときにライセンスを自動的に拡張できる「オンデマンドスケーリング」、ADCのクラスタ間でのワークロードを拡張できる「アプリケーションスケーリング」、「vCMP(virtual Cluster Multi-Processing)」と呼ばれる仮想化やパーティショニングによる拡張機能「オペレーショナルスケーリング」の3パターンがあるという。
BIG-IP 800は、BIG-IP v11.4を利用しているが、基本機能以外は制限されており、iRulesとiCallなどは利用できるが、ファイアウォール機能「AFM」、セキュリティ機能「ASM」、追加モジュール機能などは利用できない仕組みになっている。