端末からデータセンターまで、標準技術が切り札--最高コマーシャル責任者が語るデルの戦略 - (page 2)

末岡洋子

2013-08-30 15:25

--2012年末の「Dell World」で打ち出した(クラウド基盤を構築するオープンソースソフトウェア)「OpenStack」ベースのパブリッククラウド戦略を、春に変更した。最新のクラウド戦略について教えてほしい。

 2012年末の「Dell World」では、パブリッククラウド、プライベートクラウドなど、さまざまな形でクラウドに参加することについて話した。クラウド戦略は大きく変更したわけではなく、(プライベートクラウドにフォーカスするという)優先順位の問題だ。プライベートクラウドに対する戦略は変わっていない。

 企業の多くはプライベートクラウドを採用すると考えており、相互運用性にフォーカスしている。マルチクラウド管理ツールを提供するEnstrariusなどの買収により、オンプレミスとプライベートクラウド、パブリッククラウドの間でデータを動かすことができる。今後、リソースの多くはプライベートクラウドに費やす予定だ。プライベートクラウドの導入は、中国をはじめアジア太平洋・日本地区で顕著なトレンドだ。


Felice氏は以前アジア太平洋・日本地域を担当したことがあり、アジア地域をよく知っている

 OpenStackへのコミットは変わっていない。DellはOpenStack Foundationのメンバーであり、共同で開発を進めている。OpenStackは業界全体にとって良い動きだと考えており、今後もOpenStackイニシアチブを積極的にサポートする。これにはハードウェアも含まれる。

 パブリッククラウド側では、アーキテクチャの提供にフォーカスし、提供サービスそのものはパートナーと協業し、パートナーが(パブリック)クラウドを提供する。われわれ自身はパブリッククラウドのホスティングはしない。一方で、大規模なパブリッククラウド事業者向けの機器の供給で、Dellは45%のシェアを占めている。ここでは、拡張性に優れたデータセンターを実現する製品の開発を進めていく。

--直販、オンライン、パートナーと3つの方法を持つが、チャネル戦略はどのように進めていくのか?

 エンタープライズなどでパートナーはとても重要だ。特にアジア太平洋と日本ではパートナーは付加価値を付けて提供しており、重要度はさらに高い。この地区では現在2万1000社の登録パートナー企業があり、約900社が認定パートナーだ。エンタープライズの売り上げの46%がパートナー経由となった。今後も投資を続けていく。

--端末側の戦略はどうか? コンシューマーの影響が強くなっているが、Dellの製品戦略をタブレットを含めて教えてほしい。

 コンシューマーとビジネスの境界が曖昧になっており、われわれもユーザーが家庭と仕事で利用できる製品を開発していく。「(コンバーチブルノートPC)XPS」は良い例だ。少し前ならコンシューマー向けの製品となるが、実はビジネスユーザーが多く、法人顧客向けに多数販売している。軽くて薄い端末のニーズは、(コンシューマーだけでなく)企業の幹部、営業部隊などからもある。今後、コンシューマーとビジネスと区別することは重要ではなくなってくるだろう。「クライアントユーザー」が仕事でもプライベートでも利用する製品が必要になる。

 タブレットでは、画面を回転してタブレットにもノートPCにもなる「XPS 12」などを投入した。2013年後半にもビジネスとコンシューマーの両方に適した新機種を発表する計画だ。期待してほしい。

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