コンシューマー領域では日本国内でも本年2013年に50%の普及率を超えてくるスマートフォンや、普及が加速しつつあるタブレットなどのスマートデバイスに関して、企業でのこれらモバイルデバイスを本格的に活用したいというニーズが強くなってきている。
本連載ではそれらスマートデバイスの企業での活用において、どのような課題や解決の方向性があり、どう活用し、効果を勝ち得ていくべきなのか言及していく予定である。さらに、ニーズが強い反面で、実際には導入に失敗して使われていないデバイスが在庫になっている実態なども、次回以降年間を通じてシリーズで論じていこうと考えている。
第1回の本稿では、モバイルデバイスが全盛の時代に突入したことについて言及しようと思うが、その前に背景に流れるコンシューマライゼーション(消費者化)の勃発については押さえておく必要があるだろう。
コンシューマライゼーションが進みつつあるのが、現在の企業のIT領域において非常に顕著になっていると近年では言われてきた。これは単純にコンシューマー領域で流行ったITトレンドを企業に入れましょう、という話ではない。コンシューマー向けのビジネス領域(BtoC)や顧客接点の方が、顧客ニーズが移ろいやすく、新たなITを取り込んださまざまな試行錯誤をすることから革新的なことが生まれやすい。
そのため、マーケティング領域や顧客接点にこそIT投資を大きくすべきだとする考え方が少しずつ大きくなりつつある。まとめるとコンシューマライゼーションとは、顧客接点やBtoCの領域でサービスレベルや安定性をたたき上げられたさまざまなやサービスなどの技術トレンドが、企業環境の中にも順次取り入れられてくることを意味している。
実はこれはITの歴史の中ではこれまで何度も経験しており、改めて言うまでもないことだ。PC、インターネット、電子メール、どれもが初めのうちはビジネス領域では使えないと言われつつもコンシューマー領域で使われ、磨かれた技術であり、サービスだった。今となっては誰も否定することがないほど、ビジネス環境では当たり前となっている。
IT投資と技術導入のフィードバックサイクルはコンシューマー/フロントにシフトする(図1)。
このようなことを考えると、BtoBとBtoCをわけて考える時代は終わり、シームレスにROIを考える時代になっているともいえよう。(図1)