日本におけるスマートフォンの普及率は、2012年5月に調査した前述のデロイト グローバルモバイル消費者調査において、30%という結果であった。一方、それから10カ月経過後の2013年3月発表の「モバイルコンピューティング推進コンソーシアム」(MCPC)による日本でのスマートフォン普及予測から試算してみると、対前年比170%の伸びということもあり、普及率は38.2%まで伸びていることが分かる。また、個人利用のスマートフォンは年率20.3%の成長率で先に立ち上がっていることが分かる。

日本国内のスマートフォンの普及状況 出所:MCPC「スマートフォン利用動向調査報告書2013」にデロイト トーマツ コンサルティングが加筆
ちなみに法人利用は平均32.6%の成長率である(図4)。実は、2012年にMCPCが発表した普及予測では、個人利用のスマートフォンの成長率は平均32.6%、法人利用のスマートフォンの成長率は平均22.3%であった。1年前と比較すると個人と法人の成長率が逆転しているこの実態を考慮すると、この一年でより一層、法人でのスマートフォン活用が加速し始めたとも言えるだろう。
冒頭で述べたようにすでに今年2013年の年末から2014年にかけてはスマートフォンの日本での普及率が50%を超える事も予想されるが、個人での普及が落ち着いてくると次に普及を始めるのは、これまで重ね重ね述べてきたコンシューマライゼーションの考え方からも法人領域での活用となることが予想される。法人領域においては、コンシューマー領域での活用と同じように気軽に使えるデバイスである。
一方で、企業の基幹システムと連携したアプリケーション開発と合わせた導入や、会社からの持ち出しに耐え得るセキュリティの環境が必須であること、個人のデバイスを法人にも持ち込ませるBYOD(Bring Your Own Devices)ポリシーの是非、モバイル導入することで実現する新しいワークスタイルの在り方など、検討すべき範囲が多岐にわたる。
今後第2回以降は、このスマートデバイスをエンタープライズ領域で活用する際のさまざまな検討の視点や課題を、どのように解決していけばいいかについて、回を追って理解が深まるように掘り下げていきたいと考えている。
- 八子知礼(やこ・とものり)
- デロイト トーマツ コンサルティングパートナー 情報・通信・メディアセクターリーダー。通信、メディア、ハイテク業界を中心に、新規事業戦略立案、CRM/顧客戦略立案、商品/サービス/購買戦略、バリューチェーン再編などのプロジェクトを多数手掛けている。著書に『モバイルクラウド』『図解 クラウド早わかり』(いずれも中経出版)、そのほか寄稿・講演多数。
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