日本IBMは9月4日、東京・大手町のパレスホテル東京でユーザー企業とパートナー企業を対象にしたイベント「IBM Business Analytics Summit Japan 2013」を開催した。
ビッグデータ時代におけるビジネス現場でのアナリティクス活用のための最新技術とその具体的な実践事例などに関するイベント。基調講演のほか、ビジネスインテリジェンス(BI)、アドバンスドアナリティクス、パフォーマンスマネジメント、リスクマネジメントの4つの観点から20のセッションが用意され、最新技術や導入事例などを通じて、ビッグデータを活用したビジネス価値の創出事例などについて紹介された。
日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 Vivek Mahajan氏
日本IBM 専務執行役員ソフトウェア事業担当のVivek Mahajan氏は「ビッグデータは新たな天然資源である。100年前は鉄を手にした人が優位だったが、いまはデータを手にした人が優位になる」とアナリティクスの重要性を強調した。現在のデータ活用について「84%の消費者がソーシャルネットワークを利用して購買を決定しており、ビッグデータを活用した企業の方が、活用していない企業に比べて、32%も投資対効果が高いという結果が出ている。だが、その一方で65%の企業がビッグデータを活用できていないという結果が出ている」という実態を明らかにした。
「IBMに期待されているのは、ハードウェアとソフトウェアの最新技術の提供、マーケットリーダーとしての役割、グローバルの知見を日本で展開するという点だろう。日本IBMは、すでに3000社以上にアナリティクス製品を導入した実績がある。ビッグデータをどうやってビジネスに利用するかといったことがこれからの課題。パートナーと一緒になってビッグデータとアナリティクスを活用したビジネスを拡大させたい。課題もあるが、チャンスもある」(Mahajan氏)
IBM ソフトウェアグループ ビジネス・アナリティクス・プロダクト&ソリューション担当バイスプレジデント Beth Smith氏
データ分析が成長の重要な要素
基調講演では「アナリティクスが引き出すビッグデータのビジネス価値」をテーマに、米IBM ソフトウェアグループ ビジネス・アナリティクス・プロダクト&ソリューション担当バイスプレジデントのBeth Smith氏が講演した。
Smith氏は、「優れた企業に共通しているのは、データへ積極的にアクセスし、洞察を引き出し、それを行動につなげているという点である」と切り出し、ビッグデータとアナリティクスの活用が企業の成長で重要な要素であることを示した。
「新たな技術は既存のビジネスに破壊的な影響を及ぼす。すでに190億個のRFIDセンサが全世界に設置されており、2016年には消費者のデータの3分の1がクラウド上に乗るといわれている。多くのオフィスワーカーがスマートフォンを活用し、プラットフォームがモバイルになっている。これらの環境をどう生かすのか、そしてクラウドコンピューティングを生かして、いかに変革していくのかが重要になる」(Smith氏)
具体的な事例として、「機能を強化した新製品が、20%価格が高い設定とした場合に、事前にソーシャルメディアの反応をまとめ、先進的なアナリティクス技術を活用することで、顧客の反応を予測できる。アナリティクスをビジネスに意思決定に組み込むことができるようになる」などとした。