「Nokia救済を強いられたMicrosoft」という見方
「Motorolaから『他のAndroid端末メーカーを特許違反で訴えるぞ』と圧力をかけられ、結局は買収提案を飲んだGoogleの場合と同様、MicrosoftにもNokiaの端末事業を買い取るという選択肢しかなかったのではないか」という指摘がある。
・The Deal That Makes No Sense - Stratechery ・Microsoft and Nokia - Benedict Evans
Windows Phone出荷台数の約8割をNokiaに依存するMicrosoftとしては、Nokiaに「Windows Phoneでは先行きが見えないからAndroidに切り替える」と言われれば、それで事実上「万事休す」となる。そうした事態を避けるために、大きなメリットの望めないフィーチャーフォン「Asha」(の事業)まで含めて引き取らざるを得なかったのではないか、という見方である。
また、Microsoftがスマートフォンやタブレットの設計・開発を内部に取り込むことになっても、状況が大きく変わるわけではない、という冷めた意見もある。「2匹の七面鳥を掛け合わせても、鷲が生まれることはない」とかつてGoogle幹部に揶揄(やゆ)されたような状況は変わっていない、という指摘である。
・Why I think the $7.2 billion Microsoft-Nokia deal is a terrible idea - GigaOM
Microsoftは今のところ「2018年までに市場シェアを今の3倍以上に」といった、割と悠長なゴールを想定しているようだが、直近のシェアがわずか3.7%(それでも前年の3.1%からは増加)でNokiaのLumia出荷台数が1四半期に740万台、対するSamsungでは出荷台数が約7140万台、Appleでも約3190万台、さらに新興国ではユーザーがフィーチャーフォンから低価格のAndroidスマートフォンに乗り換える動きが進んでいるとされる状況がある。「Android、iOSに次ぐ第3のプラットフォームに」や「Google+Samsung、Appleに対するキャッチアップを」程度のゴール設定、外部に「大きな変化が期待できそうだ」と思わせること――いずれの狙いに対しても不十分、ということだろうか。
・With Nokia, Microsoft wants to triple Windows Phone marketshare by 2018 - The Verge ・Global smartphone sales eclipse feature phone sales for the first time ever - GigaOM
こうした懸念・批判に対しては、単なるキャッチアップにとどまらず、新しい要素を盛り込んだいわゆる「ビジョン」の提示とその実現に向けた具体的ステップの明示が必要となるはずだが、むろんその仕事はBallmerの後を継ぐリーダーの役目となる。そして、「この大変な役目が誰に務まるのか」というのが次の疑問になる。