松岡功の「今週の明言」

マイクロソフトがパートナーに訴えた「特需」と「変革」

松岡功

2013-09-13 10:13

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、IT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本マイクロソフトの樋口泰行代表執行役社長と、米IBMのBeth Smithバイスプレジデントの発言を紹介する。

「マイクロソフトはパートナーの皆様とともに大きな変革を成し遂げていきたい」
(日本マイクロソフト 樋口泰行 代表執行役社長)


日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏

 日本マイクロソフトが9月5日、都内ホテルで年次のパートナー総会「マイクロソフト ジャパン パートナー コンファレンス 2013」を開催した。樋口氏の冒頭の発言は、その基調講演で同社の「変革」に向けた決意を表したものである。

 樋口氏が言う変革とは、マイクロソフトが今スローガンとして掲げている「デバイス&サービス会社への変革」を指す。ちなみに、サービスとはクラウドサービスのことだ。

 このスローガンの意味するところは、主力事業を従来のソフトウェアからデバイスとサービスに変更するのではなく、ソフトウェアを軸にしてフロントエンドにデバイス、バックエンドにサービスを広げていこうというものだ。

 最も重要なポイントは、ソフトウェアを軸にデバイスとサービスが分断することなくシームレスにつながっているという点にある。「シームレスにつながることで、多様なデバイスからオンプレミスベースのソフトウェア、クラウドサービスをさまざまな形で組み合わせ、お客様にそれらを用途に応じて選んでいただけるようにする。これがマイクロソフトならではのデバイス&サービス事業だ」と樋口氏は強調した。

 そして、デバイスでは「Windows 8.1の投入」「Surfaceの法人市場向け販売開始」「法人向け営業人員の倍増」「アプリ開発支援・サービス連携の強化」を明言。クラウドサービスでは「Windows Azureの日本リージョン開設」「Office 365の中堅・中小企業への普及促進」などを挙げ、これらを合わせたデバイス&サービス事業として強力に押し進めていくと力説した。

 さらに同氏は、Windows XPとOffice 2003のサポートが2014年4月で終了することから、それに伴う新しい環境への移行についてパートナーに協力を要請。「IT市場にとっては特需ともいえるので、ぜひこのチャンスを活用していただきたい」と訴えた。

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