松岡功の「今週の明言」

マイクロソフトがパートナーに訴えた「特需」と「変革」 - (page 2)

松岡功

2013-09-13 10:13

 この移行への協力要請とともに、同氏が講演の最後に力を込めて発したのが冒頭の言葉である。そして「デバイス&サービスという新しい時代に求められるビジネススキームとは何か、ビジネスの具体的なやり方をどのように変えていけばよいか。パートナーの皆様との生態系で成り立っているマイクロソフトとしては、今後もそうしたことを皆様と一緒に考えながら前進していきたい」と締めくくった。

 筆者の印象では、パートナー向けのイベントとはいえ、いつもにも増して「パートナーの皆様と一緒に」との言葉が目立った樋口氏のスピーチ。まさに“二人三脚”を懸命に訴えた感じだった。それだけマイクロソフトが大きな変革期を迎えて危機感を抱いているということだろう。

「アナリティクスはビジネスプロセスに織り込むことによって効果を発揮する」
(米IBM Beth Smith バイスプレジデント)


米IBM バイスプレジデント Beth Smith氏

 日本IBMが9月4日、都内ホテルでユーザーとパートナーの企業を対象にしたプライベートイベント「IBM Business Analytics Summit Japan 2013」を開催した。冒頭の発言は、同イベントで基調講演を行うために来日した米IBMソフトウェアグループ ビジネス・アナリティクス・プロダクト&ソリューション担当バイスプレジデントのBeth Smith(ベス・スミス)氏が、アナリティクスの活用法について語ったものである。

 Smith氏の講演内容の概要については関連記事を参照いただくとして、ここでは同氏の話の中で筆者が興味深く感じた点を挙げておきたい。

 まずは冒頭の発言に関連して、Smith氏が説明したアナリティクスの機能要素について。同氏によると、IBMのアナリティクス製品には、分析、調査、マイニング、レポート、スコアリング、モデル化、可視化、シミュレーション、計画、予測など15の機能要素が装備されており、これらを必要に応じてビジネスプロセスに織り込むことによって効果を発揮できるという。ちなみに、これだけの機能要素を柔軟に活用できるのはIBMの製品群だけだと強調していた。

 もう1つ、興味深く聞いた話は、アナリティクスを「顧客」「財務」「リスク」「業務」といった4つの観点で見たときのそれぞれの効用だ。顧客については「高度な顧客セグメンテーション」「顧客心理分析の活用」「顧客離れを削減」、財務については「継続的なプランと予測を可能に」「財務管理レポートを自動化」「可視性、知見、統合性を向上」を挙げていた。

 また、リスクについては「リスクを意識した意思決定」「財務・業務リスクの管理」「コンプライアンスコストの削減」、業務については「サプライチェーンの最適化」「予防保守機能の展開」「脅威や不正行為の発見プロセスの向上」を挙げていた。アナリティクスの効用を整理して聞くことができた。

 Smith氏によると、アナリティクス分野におけるIBMの強みは、「先進的な関連ソリューション」「ビジネスに関する深い専門知識」「実績のあるアナリティクス・アドバイザー」「ソフトウェア、ハードウェア、サービス、リサーチが揃った総合力」といった4つの点に集約されるという。

 アナリティクス分野においては、IBMは有力な専業ベンダーを買収することで事業の拡大を図ってきた経緯がある。今回Smith氏の話を聞いて、事業としてかなり厚みが出てきたとの印象を受けた。グローバルで幅広い顧客ベースを持つ同社だけに、今後さらにこの事業をどう伸ばしていくか、注目しておきたい。

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