「2つのiPhoneでiPhone 5を置き換える」
今回の新製品では、樹脂筐体を採用しながら、ホワイト、ピンク、イエロー、ブルー、グリーンの5色展開を行う下位モデルのiPhone 5cを新たに設定。一方で従来通りアルミを使い、64ビットの最新CPUである「A7」を搭載したiPhone 5sとともに、初めて2つの製品を用意した。
Appleの最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は、「これまでは古くなったiPhoneを値下げして、選択してもらうという手法だったが、今年は違う。iPhoneのビジネスの拡大にあわせて、2つのiPhoneでiPhone 5を置き換える」と表現する。
iPhone 5cは、もともとは新興国での販売強化を目指すために設定された製品だとされているが、この製品は、日本でも展開されることになる。これも日本でiPhoneの構成比が高まる要因のひとつといえそうだ。
日本では、ドコモの取り扱い開始、iPhone 5cによるラインアップの強化という点で、巻き返しに向けて万全の体制が整ったといっていい。
一方で、上位モデルと位置付けられることになったiPhone 5sは、外観のデザインやサイズ、重量は、iPhone 5と変わらないが、中身は着実に進化しているといえる。
CPUに新たなA7を採用したことで、CPU性能とグラフィックス処理性能を最大2倍に高速化。M7と呼ばれるコプロセッサによって、GPSや加速度センサなどの処理を行うため、A7への負荷を軽減するといった工夫が行われている。

指紋認証機能のTouch ID
個人的に興味深いのは、指紋認証機能の「Touch ID」を搭載した点である。ホームボタン内に認証機能を搭載したことから、ホームボタンを押すだけでロックを解除できる。これまで4桁の数字を入れてロックを解除していたことが、かなり手間に感じるようになるだろう。そして、iTunes Storeなどでのコンテンツ購入時もパスワードの代わりに指紋認証を利用できるという優れものだ。
これまで搭載されてきた「s」がつく製品は、型番からもわかるようにマイナーチェンジ的な要素が大きかった。今回のiPhone 5sもデザインに変更がないという点では、マイナーチェンジの域を出ない。
しかし、使い勝手や処理性能の向上、そして日本ではドコモが取り扱いを開始するという点で、市場に対するインパクトはマイナーチェンジ以上のものになるのは間違いない。
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