1~2週間かかっていたネットワークのプロビジョニングが数分に
ネットワーク仮想化プラットフォームとして発表したNSXについては、Casad氏が概略を説明した。Casad氏によると「ESXがサーバのプロビジョニングを数分に短縮するものだとすれば、NSXはネットワークのプロビジョニングを数分に短縮するもの」と表現した。実際、NSXは、ESXがサーバを仮想化するのと似て、物理的なネットワークの上に仮想ネットワークを重ねるオーバレイ型の製品だ。
「仮想マシンを管理するようにプログラムを使ってネットワークをコピーしたりクローンを作ったりできる。また、L2からL3へのネッワークの制約などを受けないワークロードの移行、ファイアウォールや負荷分散、VPN(仮想私設網)、QoSなど、L2~7でのサービスをソフトウェアで管理できる」(Casad氏)

図3:NSXが提供する機能(提供:ヴイエムウェア)
ハイパーバイザとしては、ESXのほかに「KVM」「Xen」「Hyper-V」に対応し、クラウド管理基盤としても「OpenStack」や「CloudStack」に対応する。ベンダーや独自の技術にとらわれない拡張性の高いネットワーク仮想化プラットフォームということができる。実際、セキュリティ、アプリケーションサービス、ファイアウォール関連などで20社超のパートナーがNSXのサポートを表明している。

図4:パートナーとのエコシステムを形成(提供:ヴイエムウェア)

VMware ネットワーク担当チーフアーキテクト Martin Casad氏
早期導入ユーザーとしては、イベントで発表のあったciti、GE、eBay、WestJet、Columbiaなど、大手企業を中心に数十社があり、仮想マシンの導入規模は200から、最大で10万にまで達しているとした。ヴイエムウェアによれば、NSXの早期ユーザーには国内企業も数社含まれている。日本国内での実績については、6月11日に発表したNTTコミュニケーションズのように、クラウドプロバイダーがNSXを基盤に採用し、顧客にサービスを展開するというケースがすでにある。
「顧客がクラウド環境を外部に拡張することは難しい。だが、NSXを基盤として採用するプロバイダーを経由すれば、そういったことも可能になる。これは日本の顧客に限ったことではないが、サーバを数分で立ち上げてプロビジョニングできるようになったのと同じように、これまで数週間かかっていたネットワークのプロビジョニングを短縮したいというニーズは多い。ほんの数時間前も、日本のある大手顧客とそのことについて話していた」(Casad氏)
Casad氏はまた、日本のユーザー企業は、米国から3~6カ月程度の遅れはあるものの、ニーズとしては非常によく似ていると指摘。国内のプロバイダーなどとも協力しながら、さらに高度なクラウドサービスを提供していくとした。