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三国大洋のスクラップブック

「チープなiPhone」が出なかった理由、あるいはアップルの「隠し球」 - (page 2)

三国大洋

2013-09-20 16:30

「半値になってお買い得」な米国市場での印象

[Apple - iPhone 5c - TV Ad - Plastic Perfected]

 今回のiPhone発表に関し、英語(米国など)のメディアやブログでは、値付けに関する話題が随分目立っていた印象が強い。携帯電話やスマートフォンの購入に際して、購入時の支払い(よく”upfront”などという)が要らない売り方が定着している日本では、あまりピンとこない部分である。

 そうして「iPhone 5と同じ中味に、新たにカラフルなプラスチック(正確にはポリカーボネイト)きょう体が付いて、従来の半値(99ドル、通信キャリアとの2年契約が条件)になった」などとしきりにやっていた。あるいは、一番安い位置づけに来ると思われていた「iPhone 5c」が実は中位機種で、「中国の大衆には手の届かない値段」だと投資家筋が落胆し、Appleの株価が発表前に比べて1割(約50ドル)も下がった、などというニュースもよく見かけた。

 stratecheryというブログには、この値付けとポジショニングについてのわりと明快な説明(予想)が出ている。発表前の8日に公開されていた「THINKING ABOUT IPHONE PRICING」という記事には、複数機種を投入してセグメント化する必要を記した図表(手書き風スケッチ)などとともに、iPhone 5cの市販価格について「通信キャリアからの販売助成金(「subsidiary」)がつく場合には99ドル、つかない場合には550ドル」などという予想が出ている。

 また、この数字に至る経緯がわりと面白くて、例えば「Appleが通信キャリアから受け取っている助成金がだいたい450ドル」「新機種をタダで配ってしまっては、消費者の間でApple製品に『安物』というイメージがつきかねない。Appleはそれを避けようとするだろう」「Appleが通信キャリアに譲歩して、99ドル/450ドルという線も十分考えられ、また無料/450ドルという線もありえないわけではない」などとある。

THINKING ABOUT IPHONE PRICING - stratechery

 ふたを開けてみれば、この予想の中で最も高い方――16Gバイト版で99ドル/549ドル――が正解だったわけだが、stratecheryの筆者Ben Thompsonはそれくらいの値段なら「5Cはものすごいヒット商品(「massive hit」)になる」と予想。「平均販売価格(ASP)はかなり下がるかもしれないが、売り上げ全体は大幅に増えるだろう」などと書いている。

 一方、やはり価格設定とポジショニングに触れたBenedict Evans(本職はアナリストらしい)は、「iPhone 5cが今後は一般向けの中心機種になる」とした上で、「新しいきょう体で従来の(iPhone 5の)半値というのは、通信キャリアとのポストペイド(長期契約)加入者が多い米国などではかなり魅力的に見えるだろう。iPhoneのシェアは現在の4割超からさらに増えるかもしれない」「しかも、これまでのiPhoneでは99ドルの枠は『一世代前の機種』のものだったのが、iPhone 5cは違う(購入者は「新しいiPhone」だと満足もしくは自慢できる)」などとしている。

 つまり、Appleは「iPhone 5」という枯れた中味に新しい皮をかぶせ、しかも値下げするというアプローチで、前述の2番目の課題について解決を図った、と見ることができる。外側とそしてOSをリフレッシュすることで、米国の消費者の目には「十分に新しく、しかもお買い得度が増した」と映るとAppleがそう判断したということかもしれない。このアプローチが果たして奏功するかどうか、その結果が分かるまでにはもう少し待たないといけない。

iPhone price and positioning - Benedict Evans

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