制度上はFacebookも禁止
企業のリスク管理という意味で、もう1つ、Facebookの例をご紹介しましょう。
ベトナムにおいても、携帯電話の普及率は目覚ましいものがあり、ITU-World Telecommunication/ICT Indicators Databaseの統計によると、2009年に携帯電話の対人口比率が100%を超えました。また、ベトナムの情報通信省の推計によると2011年6月の時点で約2900万人がインターネットを利用していると報告されています。自分でPCを保有していなくても、ネットカフェや携帯電話を利用してインターネットに接続しているベトナム人が多くいます。そんな彼らは、Facebookなどの流行には敏感で、すでに多くのベトナム人がFacebookを活用しています。
しかし実は、ベトナムは制度上ではFacebookを禁止しているのです。国が変われば規制対象が変わることは当然のことです。「イスラム圏では飲酒がご法度」「(医療目的ではなく)嗜好品として大麻が合法の国もある」ということは、ご存じの方も多いと思いますが、ITの分野でも同様です。「良いか悪いか」という議論ではなく、「ベトナムではこういうルールになっている」という事実があるということです。
ベトナムで経済活動を行う経済人は、このルールに従って行動するのは当然のことです。Facebookは、現状「黙認状態」となっていますが、制度上では禁止されていることに変わりありません。せめてオフィスでは接続禁止にするといった、会社としてのルールを定めておく必要があります。
次回は、これらのハードウェアとソフトウェアが実際にどのように使われているのかについて考えていきます。
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- 古川 浩規
- インフォクラスター
- 文部科学省で科学技術行政等に従事したのち、平成20年に株式会社インフォクラスター、平成22年にJapan Computer Software Co. Ltd.(ベトナム・ダナン市)を設立。情報セキュリティコンサルテーション、業務系システム構築、オフショア開発を手掛けるほか、日系企業のベトナム進出に際して情報システム構築や情報セキュリティ教育等を行っている。資格等:日本セキュリティ・マネジメント学会 正会員、情報セキュリティアドミニストレータ、日本・ベトナム文化交流協会理事