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イノベーションハブの作り方--シリコンバレーvsイスラエル

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2013-09-25 08:00

 Eastman Kodak。もしかすると、すでに何の会社だか分からないという人もいるかもしれない。写真用フィルムで有名であった同社は、デジタル化の流れに乗り遅れて2012年1月に破綻した。

 そして、今月4日に再生計画が認められ、商業用印刷会社として再スタートを切ったところである。10年前には6万4000人いた従業員は、8500人にまで減ってしまった(Bloomberg Businessweek)。

 Kodakのケースは、多角化に成功した富士フィルムと対比され、イノベーションへの取り組みの失敗事例として取り上げられることが多い。フィルムビジネスで成功していたが故に、イノベーションへの取り組みにおいて劣後し、最終的には破綻にまで追い込まれたのである。

 これが、国家レベルで起きれば、もはや国民の行き場はなく、国民生活の破綻となる。それ故に、今どんなに成功していても、イノベーションには取り組まなくてはならない。それは企業のレベルにおいても、国家のレベルにおいても当てはまる。

 そこでよく議論に上るのが、シリコンバレーのようなイノベーションの集積地である「イノベーションハブ」が作れないかというものだ。『MIT Technology Review』(MTR誌)9~10月号に掲載された「The Next Silicon Valley」という興味深い記事を引用しつつ議論してみたい。

シリコンバレーの作り方

 MTR誌によれば、シリコンバレーは1960年代にはすでにイノベーションハブとして注目を集めつつあった。その複製の試みも始まっていたが、大きな成功が見られないまま90年代に入る。そして、戦略論の大家Michael Porterがついに「シリコンバレーの作り方」を呈示した。その方程式はこうだ。

  1. 成長産業を選定する
  2. リサーチパークを大学の隣に建設する
  3. 助成金を準備して、企業や人材を呼び込む
  4. ベンチャーキャピタルファンドを用意する

 そして、この方程式に基づいて世界中でシリコンバレー作りが試みられた。その数は数百に達し、何兆円もの資金が投じられたが、成功することはなかったという。このMichael Porterの手法は政府主導のトップダウン型である。

 MTR誌は、シリコンバレーの複製の難しさは、人とその関係性という、より文化的な側面にあるとする。つまり、シリコンバレーのように、人と情報が容易に移動し、共有されていく環境を作れるかがポイントで、単に箱とお金を用意すれば良いというものではない。

 MTR誌曰く、シリコンバレーは「Facebookが登場する遥か以前から存在していた、巨大なリアルワールドのソーシャルネットワーク」なのだという。

イスラエル流イノベーション

 では、政府主導のイノベーションが全て失敗に終わるかと言えば、そうでもない。ソフトウェア産業で仕事をしていると一度は「イスラエル製のソフトウェア」というものを見聞きする機会がある人もいるだろう。

 過去に取り上げたことがあるが(関連記事1関連記事2)、イスラエルは、軍事産業からソフトウェア産業へノウハウが転用されることで有名だ。そして、そのプロセスには謎が多いのだが、今回MTR誌にその一端が紹介されている。

 イスラエルでは一般に軍隊への入隊は国民の義務で、少なくとも2年間をそこで過ごすことになる。希望者は軍隊でコンピュータトレーニングを受けるのだが、その数は毎年数千人という規模になる。そこでは、プログラミングやプロジェクト管理を叩き込まれる。そして卒業生は、諜報部門やサイバーセキュリティ部門へ配属されることとなる。

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