統合脅威管理(UTM)アプライアンスを提供するフォーティネットジャパンが大企業を対象にしたビジネスを強化させる。9月11日に開かれた会見で明らかにした。
同社の社長執行役員である久保田則夫氏は、米Fortinetが16万社以上の顧客、125万台以上の出荷実績があり、2012年の年間売上げが534億ドルを記録したことを示し、拡大する脅威に対してフォーティネットへの期待が高まっていると同社の位置付けを強調した。
米Fortinetの100%出資で2003年に設立されたフォーティネットジャパンも10年を迎え、2004年以降はUTM市場でシェアナンバーワンを維持している。これには、継続的に使用し続けられる、同社開発の特定用途プロセッサ「FortiASIC」が大きく寄与していると、その優位性を強調した。2013年第4四半期(10~12月)には、IPv6ベースの脅威にも対応する最新のプロセッサ「NP6」も登場予定だという。

フォーティネットジャパン 社長執行役員 久保田則夫氏

フォーティネットジャパン プロダクトマネージメント部 部長 伊藤憲治氏
久保田氏は、UTMには中堅中小企業(SMB)のマーケットに強いイメージがあり、それがフォーティネットのブランドイメージになっていると説明。一方で、大規模の企業や組織を狙う標的型攻撃に対応できるとされる「次世代ファイアウォール(NGFW)」が有効とされている。フォーティネットのUTMにはNGFWと同等の機能が搭載されており、パフォーマンスの面では他社製品よりも有効と説明している。
そこでフォーティネットではNGFWを再定義し、大企業向けに展開すると久保氏は発表した。UTMは従来通りにSMB向けに市場シェアでナンバーワンを維持、拡大するとともに、NGFWはハイエンドの大企業向けとして新規顧客の獲得を目指すとした。
同社プロダクトマネージメント部の部長である伊藤憲治氏が、フォーティネットがNGFWをメッセージする背景や戦略、対応製品を紹介した。企業への脅威は1990年代からコンテンツとアプリケーションのレイヤに拡大し、現在では最も上位に標的型攻撃が位置している。
また、これらの脅威への対策製品もそれぞれ登場している。伊藤氏は環境の変化として、帯域の拡大によるネットワークの進化、スマートデバイスの浸透によるユーザーの変化、標的型攻撃の拡大による脅威の変化の3つを挙げた。
さまざまな調査機関などの定義を統合すると、NGFWは「ファイアウォール、仮想私設網(VPN)に不正侵入防止システム(IPS)とアプリケーション制御を組み合わせたもの」となる。そこでフォーティネットでは、UTM、NGFWに加え、新たに「NGFW+APT」というカテゴリを設定した。このAPTには、フォーティネットではサンドボックス、ウイルス対策、ボットネット対策、マルウェア対策が含まれ、同社では「Fortinet ATP対策」と呼んでいる。
同社では標的型攻撃対策が急務となる大規模環境に対し、「NGFW+APT」を提案していく。伊藤氏は、その具体的な製品として「FortiGate-3600C」を紹介した。必要に応じて機能を追加できるアプライアンスであり、大企業の過酷なトラフィックの中でも期待する形で使えるパフォーマンスが特長であるとした。
調査機関によるパフォーマンステストでも良好な結果を記録しており、ATPを使用しても、またログを設定してもパフォーマンスに劣化が見られなかった。マルウェア検出率は94%という。同社ではFortiGate-3600CにNGFW+ATP関連機能をバンドルした製品をすでに提供しており、大企業でもマーケットを牽引していくとした。

企業を取り巻く脅威の変化に対応できるという