日本市場展開を本格化させる、サンドボックス技術のファイア・アイの眼目

吉澤亨史 2013年09月26日 17時29分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 マルウェアかどうかを仮想環境で実際に動作させて判断する技術“サンドボックス”を基軸にするファイア・アイが日本市場での展開を本格化させている。

 日本法人の最高技術責任者(CTO)として三輪信雄氏が9月10日付で就任。三輪氏は、1995年からセキュリティ事業に携わり、2003年にはラックの代表取締役社長に就任。日本政府のCIO補佐官の経験もある。

 9月12日に開かれた記者会見でカントリーマネージャーである茂木正之氏は「ファイア・アイは2011年11月に4人で設立されたが、現在では34人となり、事務所もホテルの一室からビルのフロアへ移転した。これにより、日本に完全に根付いた会社となる準備がいよいよ整った」と抱負を語った。


ファイア・アイ カントリーマネージャー 茂木正之氏

米FireEye 製品担当シニアバイスプレジデント Manish Gupta氏

 茂木氏は「ITとサイバーセキュリティで著名な三輪氏を迎えられたことを大変嬉しく思う」とし、「2020年の東京五輪が決まったことで、日本への攻撃が頻繁に起きる可能性がある。ファイア・アイは、日本という国と企業を守っていきたい」と意気込みを語った。

 三輪氏は「日本は海外の製品をそのまま持ち込んでもフィットしない特殊な市場であるとし、日本にフィットする製品やサービスを提供していきたい」と方針を説明。「現在は未知のマルウェアや新しい脅威が次々に現れるのでシンプルなひとつの“箱”では守れない。そこへの対応はもちろん、日本独自のニーズに応えるためのプロフェッショナルサービスを早期に提供することや米国に理解してもらうための情報や要望を上げ、改善に取り組んでいく」(三輪氏)

 米FireEyeの製品担当シニアバイスプレジデントであるManish Gupta氏は「FireEyeがITセキュリティにおける世界的なリーダーであり、1000件以上のお客様が利用している」と自社の立場を強調した。Gupta氏はまた、「8カ月で2300万のマルウェアイベントを顧客の現場で発見し、160の標的型攻撃を把握している。攻撃からブロックまでの時間は平均3分間である」など、FireEyeにまつわる数字を示した。Gupta氏によると、FireEyeが日本国内のアプライアンスで発見した標的型攻撃は68%と、世界平均の45%よりも多く、これは日本の高度な知的財産が狙われているためだという。

 Gupta氏は「企業などがITセキュリティに年間100億ドルもの投資をしているが、脅威から守ることはできていない」と指摘した。これは「パターンマッチングやシグネチャベースといった古いテクノロジをベースとしている」ためであると語り、そこにFireEyeのチャンスがあるとした。こういった古いテクノロジをベースにしていては、たとえ多層防御でも脅威がクライアントPCまで届き感染してしまう。

 FireEyeは、シグネチャを使わずにマルウェアかどうかを解析するエンジン「Multi-Vector Virtual Execution(MVX)」を開発した。ウェブ、メール、モバイル、ファイルの4つで怪しいファイルを仮想環境で実行し、危険なものをブロックできる。相関関係を分析することで、ひとつの企業への攻撃の詳細をすべてのFireEye機器で共有し、保護に活用できるという。「MVXは企業内のすべてのポイントに導入できる。4つに対応しているのはFireEyeだけ」(Gupta氏)

 FireEyeの新しい製品としてGupta氏は「FireEye Oculus」と「FireEye NX10000」を紹介した。Oculusは、FireEye製品のユーザー企業に対するサービスのプラットフォームと説明した。

 これには2014年初頭に提供予定のSaaS型脅威対策プラットフォーム「FireEye Mobile Threat Platform」、FireEyeが入手した脅威の分析情報などを提供するためのクラウド上のデータベース「Dynamic Threat Intelligence(DTI)」、24時間体制のサポートや最新の脅威の知見を提供する「Continuous Protection」サービスの3つのコンポーネントが含まれる。目的のサービスを選ぶことで、人材の少ない企業でもFireEyeを活用して脅威に対して容易に対策を講じられるという。

 NX10000は、脅威対策の基盤となるアプライアンス。従来の半分のサイズになり、20%の消費電力低減を実現した。4Gbpsまたは40000ユーザーの処理が可能で、標的型攻撃も検知できるという。Gupta氏は「今後も日本の企業などを守るために強いコミットメントを行う」とし、「日本法人の新しいリーダーのリーダーシップに大きな期待を寄せている」と語った。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]