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元LG副社長が舵取り--韓国ソフトベンダーTmaxが強化するグローバル展開のキモ

田中好伸 (編集部)

2013-10-03 17:28

 韓国のソフトウェアベンダーTmaxSoftは9月に、リレーショナルデータベース(RDBMS)の新版「Tibero 6」、データ分析基盤ソフトウェアの新版「InfiniData 3.0」などを発表した。

 同社は、1997年に朴大演(パク・デヨン)氏が創業(現在同社の最高技術責任者=CTO)。2000年にウェブアプリケーションサーバ「JEUS」、メインフレームをUNIX/Linuxに移行するためのソフトウェア群「OpenFrame」を展開、2003年からリレーショナルデータベース(RDBMS)のTiberoを提供している。「Oracle Database」互換というTiberoは、これまでに1000以上のサイトで導入され、9月に開催された自社イベントの中で朴氏は「韓国内ではデファクトスタンダード(事実上の標準)のデータベース」と説明した。


TmaxSoft 代表取締役社長 邊京勳氏

なぜ海外市場に進出するのか

 同社は以前から、日本と米国、中国という3つの海外市場への展開を進めている。日本法人の日本ティーマックスソフトは2000年、米国法人は2002年、中国法人は2003年にそれぞれ設立されている。以前から海外展開を進めている同社だが、2012年には海外市場への展開するための体制を再編し、代表取締役社長に邊京勳(ビュン・キョンフン)氏が就任し、海外市場を統括している

 邊氏は、Tmaxがグローバルに展開する背景として「韓国の国内市場の規模が小さい」ことを挙げている。成長するからには、より大きな市場を目指すという、企業にとっては当たり前の選択肢である。これは、Tmaxだけではない。スマートフォンの大手メーカーであるSamsungやLG Electronicsも早くからグローバル市場に打って出たことで、現在の地位を築き上げたと言える。

 2012年の国内総生産(GDP)で見ると、韓国は1兆1550億ドルで日本は5兆9630億ドル。単純に比較すると、韓国は日本の5分の1の大きさ。韓国企業は、企業としてのより大きな成長を志向した時点でグローバル展開を強いられるという表現は大袈裟ではない(この背景を考えれば、韓流アイドルがなぜ日本に進出するのかも想像できるだろう)。

 企業ITの世界でグローバルに展開するとなると、競争相手はIBMやOracle、Microsoftなどの巨大ベンダーだ。邊氏も、そのことは理解しており、グローバル戦略の中で大きな市場である米国市場について「世界の44%を占める米国市場はグローバルプレーヤーにとっての庭。Tmaxに取って厳しい世界」との認識を示している。

 だが、邊氏は「Tmaxは徹底した研究開発を進めている、研究開発がTmaxの中心」と同社の技術力に自信を持っている。「(創業者である)朴氏がCTOとなっており、朴氏を中心に製品のロードマップを作っている。これがTmaxの力になっている」(邊氏)

ハードもソフトも基本は同じ

 邊氏が同社の代表取締役社長に就任したのは2012年。邊氏がそれ以前に務めていたのはLG Electronicsだ。邊氏は1981年にLG Electronicsに入社してから長い間、海外市場を渡り歩いた。1986年から英国、1992年から欧州、1997年から旧ソ連、2005年から中国、2007年から南米といった具合に海外市場を担当してきた。

 2010~2012年には韓国本社でテレビなどのホームエンタテインメント製品の海外市場マーケティングを統括する副社長も務めた。この経験と手腕を買われて、グローバル進出を本格化させたいTmaxに誘われたことは想像に難くない。

 LG ElectronicsとTmaxを一括りにすれば、同じIT業界だ。だが、LG Electronicsはハードウェア中心であり、Tmaxはソフトウェア中心だ。Tmaxからの誘いを邊氏は当初断っていた。

 「海外市場で多くの経験をしたが、ハードウェア中心のビジネスだった。ソフトウェアは知らなかった。ビジネスは専門性が重要であることを理解していたので(Tmaxからの)提案を最初は断った」

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