同氏の答えはやはり「ノー」。ただし、「今やるべきなのは、検知やその後の対応を強化することだ。予防を含めてバランスよく対処することを訴求したい」と力を込めた。APTの脅威に対しては今後もタフな取り組みが求められそうだが、同氏のメッセージは耳を傾けるべきものだと感じた。
「新サービスを出張に関わるエコシステム全体に広げ、ビジネストラベル市場を革新したい」 (米Cuncur Technologies Steve Singh CEO)
米Cuncur TechnologiesのSteve Singh CEO
米Cuncur Technologiesの日本法人であるコンカーが9月17日、楽天トラベルと業務提携を結び、クラウド型出張・経費管理サービス「Concur Travel」日本語版サービスにおいて、楽天トラベルが提供する国内ホテル予約サービスとの連携機能を共同で開発することを発表した。
冒頭の発言は、コンカーの社長、三村真宗氏や楽天トラベルの社長、山本考伸氏とともに発表会見に臨んだ米Cuncur Technologiesの創業者でCEOを務めるSteve Singh(スティーブ・シン)氏が、新サービスへの意気込みを語ったものである。
両社では新サービスにおいて、国内最大級のホテル予約サイトである楽天トラベルの宿泊情報と、コンカーの出張管理クラウドを組み合わせることで、出張の多いビジネスマンにとって利便性が高く、企業においてもコストの可視化が可能となるソリューションを提供するとしている。
Concur Travel日本語版は、出張予約・管理をサポートするサービスで、スマートフォンやPCから場所を選ばず社内規定に則った出張申請や航空券・ホテルなどの予約ができる。また、予約情報は自動的に経費管理サービス「Concur Expence」日本語版と連動して経費精算情報を生成できることから、出張に関わる全業務の効率化を図れるとしている。なお、楽天トラベルとの連携機能については今年内をめどに提供を開始する予定だ。
楽天トラベルとの連携機能を含めた新サービスのさらに詳しい内容や特徴、業務提携の背景などについては関連記事を参照いただくとして、ここではSingh氏の発言に注目したい。
Singh氏は会見で、「私たちはビジネス出張に関わるバイヤーやサプライヤーを1つのエコシステムとして考え、世界で初めて“The Perfect Trip”というビジョンを実現している」と自らのビジネススタンスを説明した。同氏が言うバイヤーやサプライヤーとは、ユーザーをはじめ交通機関、ホテル、旅行会社などを指す。その意味では今回の楽天トラベルとの提携もそのエコシステムの関係を深化させた格好といえる。
「出張に関わるエコシステム」という発想がユニークだ。さまざまな業務フローを描いてみれば、「出張」のほかにもエコシステムを広げていける領域がありそうな気がする。そうした発想からまた新しいビジネスモデルが生まれるかもしれない。クラウドサービスはそれを具現化する有効な手段となるだろう。両社の会見でそんなことを考えさせられた。
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